あと、n回 |kzh ページ29
「ねえ葛葉、私が死んだらどうする?」
「急に何言ってんのお前」
「悲しむ?それとも、何も思わない?」
「…はァ?」
もともと体が弱い私。いつ体調が崩れるかわからない、と医者から告げられた。
そんなこと言えるわけもなく。
「…ごめん、ゲームしよっか」
「…何、精神おかしくなった?」
ううん、と答えていつもの笑顔。できてるかな。私はね、葛葉と離れてしまうことが嫌だよ、悲しいよ、今に始まったことじゃないのにね。
「…ちょ、何泣いてんの」
ごめん、と言いながらこらえることが出来なかった涙が頬を伝う。
「なんか不安なことあんのか?ほ、ほら」
慣れない手つきで抱きしめてくる。
病院で言われたことを話そうとした時、
「ぅ…ごほごほ、けほっ」
咳が止まらなくなる。ねえなんで?今じゃないよ、
慌てて口を抑えると、指のすき間からあふれる液体。
「大丈夫か?!ねぇ!」
必死に背中をさすってくれる。
「…ご、め…くず、は」
「わ、…しまだ、く、ずはと…いた…いよ」
とめどなく流れる涙と血。
もう終わりを迎える寸前だった。
「…おい、待てって、待って…」
聞いたことないような不安げな声。
「また…あえ、る…よ」
________
あの日から会いたくてたまらなくて。でももう会うことは叶わない。
「どうして人なんか…」
弱くて脆い人間を、好きになってしまったのだろうか。
考えながら、交差点を歩く。
思わず人にぶつかってしまう。
「…さーせん…」
一言謝りを入れて過ぎ去ってしまおうとした時、
ぱしっと手をつかまれる。
は?なに?だれ、疑問を抱きながら振り返る。
そこには、ずっとずっとずっと見たかった顔。
「葛葉、また、会えたね…っ」
涙ぐみながら言う彼女に交差点ということも忘れて抱き寄せる。
「…っ、」
だけど。だけど。きっとまた彼女は自分より先に死んでしまう。
だから、
「…会えてよかった、じゃ」
彼女が世界の何処かに居る、その事実だけで構わない。
また別れは、嫌。嫌。嫌。
辛くて苦しくて絶望さえも感じたあの瞬間は、もう二度と体験したくはない。
なのにどうして。
「…い、かないで」
どうしてこの手を振り解けないのだろう。
また、また繰り返すのか?
あと、何回繰り返したらハッピーエンドに辿り着ける?
________
書きたいように書いてたら看病イベじゃなくなってたごめんなさいぃ!!(スライディング土下座)
772人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お米(プロフ) - (°д°)ポカンさん» 遅くなりすみません!ありがとうございます!ちゃんと読めました!! (2022年10月26日 21時) (レス) @page3 id: 951a0df5c4 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - Hinaさん» 好きと言っていただけてとっても嬉しいです…!またリクエストありがとうございます!遅くなってしまうかもしれませんが書きますね! (2022年9月26日 19時) (レス) id: 2a01933ca8 (このIDを非表示/違反報告)
Hina - 凄く…好きです……あの、ほんとに出来たらでいいんですが、Chapter:4とChapter:5でysrさん、orb•ebnsさん、skngさんって出来ますかね……?(リクエスト多くて申し訳ない💦) (2022年9月22日 15時) (レス) id: 66b5211ad3 (このIDを非表示/違反報告)
(°д°)ポカン - お米さん» 作者さんではないんですけど…私は最初は822って打ってたんですけど読めなかったので0822と打ってみたら読めました。もしこれも試していたならすみません…。 (2022年8月17日 20時) (レス) @page45 id: 455b891510 (このIDを非表示/違反報告)
お米(プロフ) - とても読みやすくて気に入ってます!「真実は」の続編が見たく、privatterで作品に記載されている通りにパスワードを入れてみたのですがいろんな方法で何回試しても開けません。どうしたら見れますかね…? (2022年8月12日 22時) (レス) @page3 id: 951a0df5c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月23日 10時