【短編集】終わりと始まり【2j3j】

思いついたのは君でした　|fw ページ30

朝目覚めると何故か体が重かった。風邪か？そう思って引き出しに入れてある体温計を取りに行こうと立ち上がる。


「あ、れ…？」


真っ直ぐ歩けない…？力を振り絞ってどうにか体温計のある引き出しまで辿り着く。

取り出してはかる。

ピ、と音を立てたそれを見ると38.7の数字が見える。会社に連絡を入れ、大人しく寝ることにする。


「…っはぁ…」


なんか息しづらいなあ。
目を閉じても眠れなくて、ぼやあっとする。


「ぅ…ひぐっ…ぁふわ、く」


急に1人なことに悲しくなって、いや、悲しいのかもよくわからない感情が込み上げる。なんでかわからないけど涙が止まらない。
そんな時に思い浮かんだのは不破くんで。


気付けばスマホを掴んでいた。

"不破くん"の文字を送信したところでふと気づく。何、私って不破くんの何なの、彼女でもないくせに。

送信取り消しを押そうとした、なのに既読がついてしまった。


"どしたん"と送られてくるのを見たけど、なんて返信すればいいのかわからない。風邪ひいちゃったから来て？寂しいから来て？でも実際1人でなんとかなってるじゃん、寝てれば治るし。


ぐるぐる考えていると、"不破湊から着信"の文字が表示される。

思わずタップしてしまい、後悔する。


「もしもし？Aちゃんなんかあった？いや、なんか言いたそうやったのに返ってこんから緊急なんかなって思って」


「…ぁ、んーん、なんでも、ない、ごめ」


「…なぁ、泣いてる？」


えっ、なんて言う間も無く


「…行っていい？」


「い、いけど」


風邪なのを察してくれた？っぽい。


「じゃ、切るね」


「ま、まって」


「どした？」


「きら、ないで…」


「…わかった」


きらないで、と言ったものの話す気力もないし辛いから不破くん、不破くんと繰り返すだけ。


「…待っててがちですぐ行く」

思いついたのは君でした　|fw→←あと、n回　|kzh

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す