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「ここは‥‥?」
私は死んだはずだ。なのに…ここはどこ?
「お困りですか?」
「えっ、あ…はい…」
声をかけてきたのは
「シ村?」
「私をご存知ですか?」
「いえ!名札にそう書いてあったのでつい…すみません。」
メガネをかけた笑顔が印象的な男の人だった
「そうでしたか。こちらこそすみません。」
「いえ、謝るのは私の方です…」
「いえいえ、私の方ですよ。」
「いえいえ私です。」
「いえ、私です。」
「はー、シ村さん何やってるんですか?」
次にやってきたのは口元にほくろのある綺麗な女の人だった
「これはこれはニシ川さん。この方がお困りのようでしたので。」
ニシ川さんっていうんだ…なんか綺麗だけど怖そう…
「ふーん、で、貴方はなんで死んだの?」
「……」
「聞こえてる?」
「あ、すみません…死んだというのが正しいのでしょうか…なんて言えばわからなくて。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
「私…死刑になったんです。」
こんなことを言って大丈夫なのか、この人達が驚いてしまうのではないかと心配になった
「え?本当!?」
(あー、ドン引きされてるかも)
言ってしまったことを後悔したが、途端にニシ川さんが私の手を握ってきた
「うわっ、」
予想外の行動に驚いた私は思わず声を上げてしまった
「ニシ川さん、驚かれてますよ」
「いやー久しぶりの女の子の新人だと思ったら喜ばずにはいられなくて!おばさんとかじゃなくて私と同い年ぐらいの女の子だからついテンション上がっちゃった。」
ぶんぶんと手を揺らすニシ川さんはまるで幼い子供のようだった
「ニシ川さんがここまでテンション高いところは初めて見ましたねぇ。」
「あの、なんですか新人って…」
「えっと…申し訳ありません。お名前をまだお聞きしていませんでしたね。」
「私は吉村明菜です。」
「吉村明菜さんでしたか。では吉村さんついてきてもらってもいいですか?」
「はい…」
「あ、シ村さん。彼女、私の課に配属してね〜」
「はいはい、わかりました。それでは行きましょうか。」
「え、なんかちょっとめんどくさそうに言わなかった?今」
「気のせいですよ。」
暗い廊下を進んだ先にあったのは死刑課と書いてある部屋だった
「ここには所属の職員がいないんですよ。死刑の執行はそう頻繁にあるものではございませんので。だいたい他の課の者が代わりに受付を行なっております。」
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作者名:不明子 | 作成日時:2023年8月8日 0時