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「……えっ！？す、凄い、本当に？」
「ほんと！俺先生にどうした！？って言われちゃった！」
「うわっ日向すげえ！」
その用紙の束を落とさないように持つ。70点台が二つ、それ以外は平均点を上回っていた。中にはギリギリ上というものもあったけれど、それでも平均点を超えてはいるのだ。素晴らしい功績だ。
先輩方と一緒に凄い凄いと日向くんを誉めそやすと、影山くんもすっと私に用紙を出した。まさか、と思って見ると、彼も他の全ての教科で平均点を上回っていた。
「す、凄い、二人ともっ！頑張ったねっ」
しかも影山くんに至っては世界史で80点台に上がっている。暗記が比較的得意な彼だが、中学時代も滅多に見なかったその点数に飛び上がってしまった。きちんと勉強した証だ。
「こんなに点数が取れるなんて……！偉いね。ちゃんと努力してたから、報われたねっ」
思わず丁度いい位置にあった頭を撫でてしまう。彼らの顔が何だか赤いけれど、あまりに褒められたからキャパオーバーになったのだと推測する。もしかしたら褒められたのが嬉しくて上気したのかもしれないが、今の私には分からなかった。
閑話休題。
「それにしても、他がこの点数なだけに、赤点一つは悔やまれるね……」
「ウッ」
「グッ」
冷静になった私が事実を突きつけると、苦しげな声が聞こえる。まるで刺されたかのような声を出すので、慌てて私はフォローに回る。
「責めてないし怒らないよ、大丈夫だよ。頑張ったのは十分、伝わってるから」
しかし、そうは言ってもこれで補習は確定だ。不幸中の幸いとして、田中先輩と西谷先輩は補習を回避したらしい。ほっと一息つくと、
「次回も赤点取るなよ」
と縁下先輩がじとりと二人を見ていた。それは日向くん達にも言えることだし正論なので、私はそっと目を逸らした。
ちなみに私は勿論全教科満点だ。私にとっては当たり前のことなので特に誰にも言わなかったのだが、影山くんが、
「お前は満点だったか」
と私に話を振ったので、大きく部室内で声が上がった。恥ずかしくて仕方がないが、褒められていることまで否定したくないので、俯きながら賞賛の声を聞いた。
ひとしきりテストの話題で盛り上がった後、真剣な顔をして二人が考え込んだ。東京に行くのを諦められず、どうやって行くかを計画している。自転車では無理だと思う。
「……おいお前ら」
田中先輩が仁王立ちで言う。救世主を呼ぶ、と。それは紛れもなく彼らにとって救いの声だった。
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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (
レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ReG | 作成日時：2022年3月22日 15時
