検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:29,000 hit

242 ページ46

その後夕方までお話しながら勉強をし、帰りにもう一つだけショートケーキを、今度は私が月島くんへとプレゼントした。彼はため息をつきつつも、私が下がらないことを見て大人しくその箱を受け取った。

「君って本当に、生きづらそうな性格してる」
「……褒め言葉?」
「……好きに受け取れば」

彼はそう言って私をわざわざ家の近くまで送ってくれた。彼のいつもの帰り道から察するに、私の家の近くまで来るとかなりの遠回りになってしまうのだが、私がショートケーキの箱を押し付けた時と同じくらい頑固だったので、大人しく隣を歩いた。

「君、僕のこと苦手じゃないの」

そんな中、ぽつりと彼がそう言ったので、びっくりして顔を見上げた。彼は私の方を見ないまま、正面をきちんと向いていた。

「ど、どうして?むしろ、月島くんが私のこと、苦手じゃないの?」
「はあ……?」

何だか私達の間に齟齬がある。二人して首を傾げてしまったが、私達は情報を元に判断するところがあるので、話していけばすぐに分かった。

「私、人見知りだし、月島くん、威圧感があるから……ちょっと言葉が詰まっちゃっただけだよ。今は怖くないから、特に……苦手だと思う人は、今のところいないよ」
「……僕と話す時だけ恐る恐る見上げてくるから、苦手だと思ってた。僕は別に、苦手とかじゃない」
「そ、そう。良かった」

こうして本人から言われると説得力がある。こういう時に嘘をつくような人ではないと思っているので、とりあえずその言葉を信じて私は安堵した。

「ていうか苦手だと思う人がいないって何?」
「そのままの意味だけれど……」
「……君、本当に『聖人』にでもなるつもりなの?」
「わ、や、やめて、そう呼ぶのは……恥ずかしい」

案外彼とこうして二人で話すことが無かったから、彼への理解度が足りて無かったのだろう。こうしてどういう人かきちんと分かってしまえば、特に緊張することもない。

普通に話す分にはつっかえもせずに話せるようになった。元々彼は話が合う部類なので、驚いたり恥ずかしかったりする時以外は言葉も詰まらない。

「じゃあ、また明日」
「はいはい」
「教えたところ出来てなかったら、影山くんと一緒に、お説経ね」
「はあ?絶対嫌」
「あははっ。うん、頑張って」

軽口を叩いてもきちんと反応してくれる。優しい上にノリもいい方だ、と脳内の月島くん情報に書き足した。
彼はため息をついてから少し口角を上げ、くるりと来た道を戻って行った。

243→←241



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
73人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , HQ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。