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テストまで残り少ない期間だが、私の不運は続いた。

「本当にごめんなさい、旅館が忙しくて……」
「お嬢!お嬢様〜!」
「お電話中ですって!出直しましょう!」
「今日は行けないから、谷地さんにご迷惑をかけないように……」
「菖蒲の間終わりました!お通しします!」
「了解、俺鹿の間清掃すっから!」
「……えっ、あっ、ごめんね、バタバタしていて……そういうことだから、きちんと勉強するんだよ?じゃあね」

私にしては早口で要件を告げ、バタバタとした旅館内に混ざるようにすぐに電話を置いた。
びっくりするくらい今日はお客様が多い。部屋数もギリギリといったところで、一体何があるのかとカレンダーを見たけれど、特に何も無い土曜日だった。

何故だと考えている間にもお客様はお待ちになられている。一旦無駄な思考は中止しておいて、私も旅館に貢献することにした。

お母様もひっきりなしにくるお客様の対応で少しだけお疲れだ。そのうち私も接客に繰り出されるだろうな、と覚悟をしながらお掃除を手伝う。すぐに時間が過ぎていって、気づいた時にはお昼時だった。

お昼時は厨房が忙しい。私も慌てて向かうと、相坂さんが「待ってたぜ!」と言わんばかりに私を捕まえた。捕まえられなくてもお手伝いはするのだが、それほどまでに忙しいということだ。

夕方になってようやく一息つける、という時に、滅多に鳴らない私の携帯電話が鳴った。知らない番号からだったので深呼吸をしてから通話ボタンを押す。

「はい、お電話承りました、神風です」
『アッ!か、神風さん、ですか……?』
「えっ、あ、や、谷地さん……?こ、こんにちは……驚かせて、ごめんね」

そういえば今日の勉強会について何かあったら、と言って彼女にも連絡先を渡していたのだった。後で登録することにして、まさか本当に何かあったのだろうか。恐る恐る要件を聞く。

「……な、なるほど。ええと、二人の安全という点では、大丈夫だと思うよ。道が分からなくて迷子、という心配はあるけれど……」

谷地さんの話によると、勉強会を解散した時に白鳥沢の牛島さんと遭遇。影山くんと日向くんは偵察(堂々と偵察と言ったらしい。そこまで正直でなくてもいい)の為、牛島さんについて行ってしまったとのこと。彼らは本当にアクティブだな、とため息をついた。

『そ、そうだよね……、わ、私がちゃんと止められていたら、餓死することもないのに……!』
「だ、大丈夫、ただの迷子だから、餓死しないから……」

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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

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