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お昼休みが終わる頃になって、彼らは顔を見せた。ひょいと教室の扉からお団子のように重なって私を視認し、大きな声で私を呼んだ。少し面白い状態だったが、彼らはふざけている訳では無い。

「もう元気!?」
「日向くん、こんにちは。もう元気だよ、ありがとう」
「あー、他の子に浮気してる奴がきたー」
「はあ?訳分かんねえこと言うんじゃねえ」

もうお昼休みも終わるのに、急に私の席の周りがワイワイと騒がしくなった。ノートを持って現れた二人は、もはやクラスメイトに受け入れられつつある。隣の席の子がわざわざ彼らの為に机を少しだけ動かしてくれた。申し訳ない。

「大丈夫か」
「そんなに心配しないで大丈夫だよ……」
「過保護だなお前」
「は?」
「うーん、そうだよね……」

ついに日向くんにまで言われてしまった。私の勘違いでなくて良かったと少しだけ思った。当事者だからという理由だけでは彼の過保護さは説明がつかなかったので、第三者からの意見が欲しかったのだ。

影山くんは朝と同じように不思議そうに、だけど日向くんに言われたからか眉間に皺を寄せながら凄んだ。もう日向くんも私も慣れているので、特に怖がったりはしない。弥生ちゃんなんかは寧ろ楽しそうに笑っている。

「あ、話しかけてくれるのは有難いけれど、時間大丈夫?」
「アッ、そうだった!じゃあまた部活で!」
「うん。影山くんも、またね」
「おう」

手を振って彼らを教室から送り出すと、丁度予鈴がなった。移動教室などが無ければいいけれど、あったとしても彼らの足なら余裕だろう。でも危ないから廊下は走らないでほしい。我儘な心だった。

「弥生ちゃんも席に帰るんだよ、授業の準備は大丈夫?」
「準備ぃ?めんどくさい……Aやってよ」
「テストも近いんだから、頑張って……あの二人を見習おうね……」

彼女は彼女で最後の最後に泣きつきにくる可能性があるので油断出来ない。進学クラスにいるし、話していて地頭はいいと分かってはいるからそんなに心配していないけれど、万が一がある。

「月島くん」

SHRが終わって部活に行くクラスメイトを横目に月島くんに話しかける。彼は少し意外そうな顔をして、その後すぐいつものように気だるそうに「何」と言った。

「ケーキだけれど、駅前のお店のものでいい?」
「は……いや、そこ高いデショ、確か」
「お、お礼だし……」

彼はため息をついて席を立ち、私を上から見下ろした。

「テスト後の帰り、一緒に行くから空けといて」

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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

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