検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:39,798 hit

60 ページ11

「あ、あれっ?」

部活後、きちんと清水先輩と後片付けまでやって別れた後、携帯を出すために鞄を漁っていたら、鞄に入れていたはずのノートが一冊無かったことに気づいた。最悪だ、とため息をつく。今までこんなことは無かったのに、慣れないことをして気が緩んでいたのかもしれない。

とにかく慌てて学校へと戻らなければ校門がしまってしまう。時刻を確認するが、しかし無情にも校門が閉まる時間はとうに過ぎていた。明日取りに行くしか無さそうだ。そうなったら仕方ない、と落ち込んでいた心を自分で励ましてくるりと帰路を振り返る。

昨日よりもどっぷりと暗い道だったが、流石にもう道は覚えている。明かりが無かったからといって特に問題は無い。不安要素があるとすれば、

「…………」

何者かに付けられていることだった。
後ろから小さな足音が追ってくる。学校を出て少ししてから私の後ろを歩いてくるのだ。先程携帯を確認する時に止まった時は同じように止まったし、今は私と同じ速度で歩いている。

ストーカーなんて漫画の中だけだと思っていたが、こうして付けられていることが事実だった。非常に恐怖心を煽られるが、振り返りたくはない。もし相手に「私が気づいている」と思わせてしまったら、すぐさま距離を詰められて襲われる可能性もある。気づいていないフリをしなければ。

私は至って冷静に頭で考えながら、しかし実際はそんなに割り切れず、あからさまに左右をキョロキョロと見回してしまう。後ろを向いていないだけまだ良かったが、後ろの相手に悟られてしまうのも時間の問題だった。

携帯があるということをすっかり忘れたまま角を曲がり、それと同時に走り出した。すぐさま近くの路地を曲がって、家を真ん中にしてぐるりと一周するように走る。
後ろの人もそれに付いてきた。というより、私よりも早いペースで走っているらしく、どんどん足音が近づいてくる。

「っおい!」
「へうっ!?」

捕まるのでは、と少し泣きそうになっていると、後ろから聞いた事のある声が叫んできた。思わず悲鳴を上げて後ろを振り返る。

「……あ」

勢いよく息を吸ってしまって咳き込んでしまった。後ろから追いかけてきた彼は呼吸を乱さず、私を上から見下ろした。

「か、か、影山、くん……」
「何してんだ、お前」
「こ、こっちの、台詞、だよ……もっと、は、早く、声掛けてよ……」

後ろから追いかけてきていたのは彼だったのだ。私は息を整えながら、くらりと目眩をおぼえた。

61→←59



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
49人がお気に入り
設定タグ:HQ , ハイキュー!!
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ReG | 作成日時:2022年1月26日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。