4.噂 ページ4
「松本、あとよろしくな！」
満面の笑みを浮かべた数学教師は、教卓の上にある大量のノートとドリルを職員室へ持ってくるように俺に伝えた。
持って行く分にはまだいい。
…しかし、なぜこの量を俺一人で…
一人で持つには少々量が多すぎないか？
表ではできない反抗を心の中でする。
なんてぼやいていても仕方がないため、
俺はさっさと終わらせようとノートを持った。
その瞬間、すっと教卓にあるドリルを持ってくれた人がいた。
誰かが手伝ってくれるなんて思っても見なかった俺は、驚いて持ってくれた人を見る。
「Aさん…」
思わず呟いてしまった名前。
無意識だったため、俺は慌てて口を塞いだ。
Aさんは一瞬驚いたものの、
ニコッと俺に微笑みかけた。
「名前、覚えてくれていたの？」
「まあ…」
話したこともないのに自分のことを知られているのは怖いだろう。
そう想像し、歯切れの悪い返事を返す。
しかし、俺のそんな思いとは裏腹に、Aさんはあまり気にしていないようだった。
…慣れているんだろうな。
心の中でそう解釈することにした。
「ありがとう」
「職員室に運べばいい？」
「いや一人でも…」
誰かの手を借りるなんて言う考えがなかった俺は、”一人でもできる”と言おうとした。
しかし、
「私職員室に用があるんだよね。ついでだから気にしないで」
と言われた。
そしてAさんは、俺のことを待たずして、ドリルを手に持ち、スッと教室を後にした。
Aさんの後ろ姿を見て、俺は、以前山田がこんなことを言っていたのを思い出した。
『Aさんは本当に気が利くんだ』
『困ってる人は放っておかないし、誰がどう見たっていい子だよ。完璧な人間だな』
『でも嫉妬する女子が多いのも事実だし、噂が本当かはわかんねーけどな』
ここで言う噂とは、校外で男を捕まえている、とか、遊んでいる、とか。そう言った類のことを指すのだろう。
山田も人を噂で判断するような人間じゃない。
俺もそうはなりたくないと思っている。
その人がどんな人かは関わってみないとわからないことで、人から聞いた情報のみで判断するのは間違っていると思うからだ。
たが、今Aさんと関わってみて、少しだけわかった気がする。
…山田の言う気が効くいい子というのは概ね正解かもしれないな。
そう思いながらも、俺はAさんの後に続き、教室を後にした。
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usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
