嫌いな日3 ページ3
「いつか、みんなで集まろう
その時まで……もっと極悪ろ」
イザナの言葉に誰も逆らわない。
逆らえなかった。
「兄貴、姉ちゃんどうしてるかな」
年少の殺風景な狭い小部屋で寝転がりながら呟いた竜胆の言葉に、さぁ。と返す。
「…いつか、族に入ったら
姉ちゃんなんて言うかな」
怒るかな。と続いた言葉にも、さぁ。
「姉ちゃん、泣いてるよな」
「…意外と泣き虫だからな」
「誰かそばにいてくれてたらいいけど」
竜胆の言葉にひとり、思い浮かんだ男がいたがそれだけは嫌だった。
姉ちゃんを取られそうで。
「……タダがいんだろ」
できたらタダが姉ちゃんを支えていてほしい。と願いを込めて、自分に言い聞かせるように呟いた。
そっか。と少し明るくなった竜胆の声に、手触りの良い坊主頭を撫でる。
出所する日になり、竜胆と2人で門を出ると車が一台止まっていた。
「お疲れ様です
蘭さん、竜胆さん」
「お前…タダか？そんなゴツかったか？」
なんか以前よりデカくなっているゴリラが運転席から出てきた。
どうぞ。と開けられた後部座席に竜胆と乗り込む。
「この車お前の？」
「いえ、借りました」
「誰から？」
「知りません」
「「は？」」
聞けば、いい車だな。貸してくれないか？と交渉(暴力)したら貸してくれたと。
思わず竜胆と腹抱えて笑う。
「はー、笑ったわ
姉ちゃんは？」
「お二人が帰ることは伝えてません
サプライズです」
その言葉にタダがどれだけ姉ちゃんを大切にしているかを理解した。
それと同時に、やはりタダが姉ちゃんをそばで支えていたんだと安心もした。
家に帰れば、埃だらけで、洗濯物も雑にカゴに入れられていて、到底生活していたとは思えない様子に一抹の不安がよぎる。
「埃溜まってんなぁ〜」
「何日帰ってねぇんだよ」
その言葉とほぼ同時に玄関の方で音がした。
耳を澄ませて廊下の床を踏む音を聞く。
かなり警戒しているのか、気配と音を消して近付いてくる人物に合わせてゆらりと動いた。
その瞬間頭上から振り下ろされる傘。
咄嗟に手で掴んで、驚きに大きく見開いている紫色を見つめた。
『……え、は？』
久しぶりに聞いた声に胸が満たされる。
「ただいま姉ちゃん」
俺のその言葉で、泣きじゃくる姉ちゃんをぎゅっと抱きしめた。
1年見ない間にますます綺麗になっていた。
この声だ。
この髪だ
この手だ。
この体温だ。
だけど、この匂いは誰のだ。
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玉兎(プロフ) - 朝パンさん» お久しぶりです😂😂もちろん覚えてますよ！！ めちゃくちゃ読んでくれてる！！✨✨嬉しさ極まってます！！ありがとうございます🥰頑張ります💪 (8月31日 11時) (
レス) id: 51ccdf4ac7 (このIDを非表示/違反報告)
朝パン(プロフ) - お久しぶりです!!覚えてますか？この20回振ったあの子は灰谷姉でしたシリーズと喧嘩するほどシリーズそしてちょっとおかしな君の金銭感覚シリーズを軽く8回程読み返しまくってる朝はパンよりご飯派です!玉兎様の作品はどれも傑作でもう大好きですこれからもFIGHTです!! (8月17日 2時) (レス) id: 90a0b3c2ac (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - つかささん» ありがとうございます！！そう言っていただけると舞い上がります😂 頑張ります✨✨ (2022年8月27日 12時) (レス) id: 29d9966584 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - 玉兎さんの作品めっちゃ面白いです！！玉兎さんのペースで全然いいので更新頑張ってください！！ (2022年8月27日 7時) (レス) id: d3e06b901c (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 雪兎さん» いえいえそんなお気になさらず！ 読んでいただけるだけで幸せです🥰さらにコメントもしてくださって舞い上がります😊 お時間のある時にゆっくり目を通してください♡✨ (2022年8月25日 16時) (レス) id: 29d9966584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉兎
| 作成日時：2022年7月22日 13時
