タンジー ページ9
スーツが冬用だなぁ、、、紺色のロングコートがよく似合っている、、、ぼんやりそんなことを考えながら駅までの道を歩いた。
無言で電車を乗り継ぎ、重岡さんの足が止まったのは一軒のマンションの下。
そのままエレベーターで4階に上がって、玄関の前、
「オレ、引っ越したんよ。」
それだけ言うと鍵を開け、中に入るように促された。
重岡さんの家、、、迷う、、、。
2人きりで話すということは、また嘘に嘘を重ねることになる。
それか、全部本当のことを話すか、、、。
それが嫌だから携帯も変えて、重岡さんから逃げたのに、、、。
「入って。」
優しい声にも身体が思うように動かない。
「ほら。寒いやん。」
立ちすくむだけのオレの腕を引いて、玄関の中へ入れ、身体のすぐ横、手を伸ばして扉を閉め鍵をかけた。
それだけでドキッとした、、、ふわっと触れたから、、、。
重岡さんは靴を脱いで、オレが脱ぐのを待ってくれている。
逃げる、、、なんてできないよな。
そもそも、重岡さん一人暮らし？
奥さん、、、か、誰かがいる？
何のためにオレはここにいるんだろう、、、。
促されるまま手を洗い、部屋に入った。
シンプル、というか殺風景な部屋。
リビングダイニングであろうスペースだが、テレビやソファもない。
あるのは小さなちゃぶ台のようなものだけ。
「座って。お茶入れる。」
キッチンにはちゃんと調理器具や調味料があり、ここで生活をしていることは伝わる。
コップは揃いのマグカップ。
「オレ、センスないし、なんだかんだバタバタしてたら諸々買う暇もなくてさ。
テレビさえない生活してんねん。」
胡座をかいて座る重岡さんと向かい合う。
「さぁ、、、どこから話そうか、、、。」
離婚のこと、奥さんとのこと、、、聞きたいけど聞けない。
黙るしかない。
「めちゃくちゃ証拠揃ったところまではメールしたよな？
その後、彼女のご両親とやろ、W不倫だったから向こう夫婦とも話し合った。
友達の弁護士に頼んだから、離婚まではスムーズに進んだ方やと思う。
1ヶ月くらいかなぁ、かかったんは。」
言い逃れできへん証拠はあった。
けど、もしかして、泣いて縋られたら再構築する可能性もあるかもしれないとは思っていた。
離婚、したんだ、、、。
「で、ここに引っ越した。
そっから、家具も揃えず何してたかというと、、、。」
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奏多(プロフ) - まさかさん» まさかさんの赤緑が好きすぎて何度も読み返しています。これからも更新楽しみにしています💚 (2023年1月5日 22時) (
レス) id: 6198bdee62 (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - 『タンジー』を気に入ってくださっているということは、赤緑好きさんですよね？私も赤緑が一番好きなので、ついついお話も多くなります。似た話になっていそうで心配ですが、これからもよろしくお願いします！！赤緑沼は深い〜！！ (2023年1月5日 20時) (レス) id: 228009e50a (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - 奏多さん、ありがとうございます！新年早々、ありがたいお言葉、、、(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥｀)あれやこれや、思いつくまま書いているので、続編も思い付いたら書けるといいな。 (2023年1月5日 19時) (レス) id: 228009e50a (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - まさかさんのお話が大好きすぎて何度も読んでます。いつかタンジーの続きが読みたいです。 (2023年1月5日 17時) (レス) @page14 id: 6198bdee62 (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - stcさん、ありがとうございます。昼寝から起きたらこんな恐れ多いメッセージ、、、。私、文芸部とかでもなかったし、一番得意科目は数学だった女なので、語彙力も文章力も白旗上げつつ書いている、ただの妄想オバさんです。一緒にニヤニヤしましょうね〜！！ (2022年11月19日 15時) (レス) id: 228009e50a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まさか
| 作成日時：2022年8月12日 10時
