あの海が見える場所 26

Yokohama 緑 ページ49

今日の仕事は、書類の整理だけ。



打ち合わせはない。



土日の式と来週の打ち合わせの資料をまとめる。



パソコンの画面には、希望、要望が所狭しと書き加えられている。



花、テーブルクロスの色、、、あぁ、ケーキのこと、一つ確認し忘れてる。



こっちは参加者が1人追加か、、、。



画面を見ながらも、視線は無意識に時計と時刻表示を探す。



7時、みなとみらい、ということはそろそろ支度をしなければいけないな。



自分でも不思議な感じ。



天秤が揺れる。



会いたい、会いたくない。



少しだけシゲのことを考えて、昔を思い出して、、、トイレの鏡に写る顔は、、、ん、微妙。



6時半、『着いた。』ってメール。



『ごめん、まだ職場。

今から行くな。』



薄手のコートを急いで羽織って更衣室を出る。



電車で3駅。



みなとみらい駅からショッピングモールを抜けて地上に出ると、目に入るのは観覧車。



虹色に光り輝くコスモクロック。



目印。



観覧車のある遊園地方面に向かって、その手前を右に曲がる、、、地図で確認したからな。



目印、、、ただの目印、、、。



平日だからスーツを着た会社員が駅に向かうその流れに逆らう形で歩いていくと、ポケットで携帯が震える。



シゲかと思って開いてみると、



『神ちゃん、お疲れ。

しばらく会えてなかったからまた飲もうや。

花見でもええな。』



のんちゃんから。



大型犬のようにじゃれながら甘える姿が脳内で再生される。



思わず笑った。



ありがとう。のんちゃん。



肩の力が抜けた気がする。



『お疲れ。

来週にも開花するって予想出てたよな。

この辺だと花見ってどこでするんやろうね。』



あれから花見、というより桜の花は苦手。避けてきた。



でも、今年は大丈夫。



のんちゃんが一緒なら、、、そこにシゲもおるんかもしれへんけど。

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