あの海が見える場所 26

Hyogo 緑 ページ38

「おかしいんよな〜、神ちゃんのことなら、何して欲しい？何求めてる？求めてない？なんでもわかるのになぁ〜。」



シゲはきっと、誰の気持ちも思いも感じれる人。動ける人。



ただ、スイッチ切ってるだけだと思う。



合わないというか、興味ない人に対して。



実際、ゼミの教授や仲良い友達、バイト先の人達にはめちゃくちゃ愛想ええもん。



時には妬けるくらい、、、。



「それ、完璧シゲの妄想な。」



「え〜？マジで？

自信失くすわ〜。」



笑いながら、左手を伸ばしてオレの右手を取る、自然に。



ほら、、、自信なんて無くしてへんし、無くす必要もない。



シゲの行動全てはオレを中心に考えてあって、それが悔しいくらいビンゴやから。



今も、車の中で、駐車場でシゲを感じられる最大限のこと、、、。



「自信ないシゲとか想像つかへんな。」



「そう？試験落ちたのも自信なくしたし、まぁ、色々。」



車のエンジンを切って、シートベルトを外したシゲ、、、。



何を自信をなくすことがあるねん。



ドアを開けて出て行こうとするシゲの腕を掴んで止める。



「何？色々、って。

オレのこと？」



一瞬車内の空気が変わる。



けど、次の瞬間、掴んだオレの手を繋いでバツが悪そうに笑いながら、



「ごめん、ごめん。

そんな大層なこと違うねん、、、。

ただ、、、今のこの生活が、神ちゃんべったりの生活が変わることへのちょっとした不安。

オレ、一緒におっても神ちゃんのこと守れてへんときあったやろ？

お互い仕事して、離れて過ごす時間が増えて、、、いや、違うな。

何言いたいかわからへんようになってる。

神ちゃんを守ってるなんて、そんな偉そうなこと。

ただただ、神ちゃんとずっとおられへんのが寂しいだけ。

不安なだけ。」



「それこそ、なんで不安になることあんねん。」



怒るで？返答によったら。

Hyogo 緑→←Hyogo 緑

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す