あの海が見える場所 26

Hyogo 緑 ページ32

レストランはオープンテラス、海からの風がまだ少し肌寒い。



「風呂入る前でよかったな。」



通された席はそんなテラスの端。



オレンジの明かりが、白いテーブルクロスを照らす。



「地中海料理やって。」



「地中海？」



「イタリアとかスペイン料理とかのことらしいで。

知らんけど。」



食前酒から始まり、運ばれてくる料理はどれも美味い。



白い皿に盛り付けられた芸術、って感じで一口口に運ぶたびに幸せのため息が出る。



視線を横に移せば海。



暗く黒い海は怖いだけのものではない。



夜の海と言えば、



「あん時の海、淡路の時の。

告白した時のこと思い出すな。」



驚いてフォークを落としそうになった。



「オレも全く同じこと思ってた。」



向こうの方では誕生日なのか、結婚記念日なのか、、、ホテルの人がロウソクが立ったケーキを運び、周辺のテーブルから拍手が上がっている。



「いつも思う。

あん時、勇気出して告白せんかったらどうなってたやろう？って。

諦めて、告白してきた子と付き合ってたか、ずっと片想いしてたか、、、。」



「オレもやし。

よく告白してくれたなって、、、。

周りの目もあるし、普通に考えて無理やろ。

かわいい子に告白されまくってたし、シゲ。」



「背中押してくれた流星とのんちゃんには感謝しかないな。

理解してくれるハマちゃんも。」



「ほら。ハマちゃん先輩の結婚式、ちゃんとしていかなあかんやん。」



「おっしゃる通り。

余興の練習、金曜日昼過ぎに集まるらしいで。

駅前のカラオケ屋。」



「ただのカラオケ大会なるだけな気がする。」



メインの料理も終わり、デザートを食べながら海を眺める。



いつもより少しだけ飲み過ぎた、といってもワインを2杯。



熱くなった頬に当たる海風が気持ちいい。



特に何も喋らない。



けど、きっとシゲの頭の中も同じこと考えてるだろうなって思える。

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