あの海が見える場所 26

Yokohama 赤 ページ4

式場からは多分15分ほど、歩いて。



大丈夫やって、って自分に言い聞かせ、通りを一本曲がったところ、、、。



「神ちゃん、、、。」



目の前には神ちゃんが携帯画面を見ながら立っている。



こちらには気付いてない。



まだ早いで？



携帯が震える。



『お疲れ。オレももう中華街来てるで。

店の前で待ってます。』



駆け寄って抱きしめたい、、、。



ありがとう、来てくれて。



それは違うな。



やっぱり好きや、、、。



それは怖い。



「会いたかった。」



、、、これやな。



けど、そんなことは言えるわけないから、



『神ちゃん、見つけた。』



それだけ、、、。



顔を上げてキョロキョロしてる。



通行人の隙間から目が合う。



ニコッて。



派手な服、金髪でピアスバチバチだったあの頃の神ちゃんとは違って、落ち着いた紺のコートにグリーンのチェックのマフラー、紺のスーツ、、、。



まるで別人で、3年間という月日を嫌というほど突きつけられる。



でも、笑顔はオレの知ってるまま。



それに、ホッとしてうれしくて涙が出そうだ。



「ごめんお待たせ。

寒かったやろ？

かなり待った？」



「いや、オレもさっき来たところ。

早過ぎたな。

20分前か、、、入れてくれるかな？」



嘘。



神ちゃんの白い頬は寒さでもっと白く、髪も風で乱れてる。



待ってたやろ？そんなん言うても「待ってた。」なんて言わへんのは知ってる。



早く暖かい場所に、、、。



「大丈夫やろ？平日やし。

聞いてみよ。」



ごっつい入り口の扉は自動ドアで、開くと同時に、案内の店員さんが近寄って来てくれた。

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