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【第弍話】 横浜:路地裏:快晴 ページ7

入り組んだ路地裏を、二人で駆けて行く。

「……はい。鏡花ちゃんが『血のにおいがする』って……
今は……えっと、探偵社前の坂道に寄添う路地裏です。

万一に備えて、与謝野さんを………」

後ろで通話する敦を気にせず鏡花は右、左、直進、左折―― と路地を駆けて行く。

陽の光が届きにくい路地裏は少し湿った空気が漂い、賑やかな日常を遮断した様な薄暗く重い空間を生み出して居た。

「鏡花ちゃん、もう少しで着きそう?」

携帯電話を少し離した敦は数米先を行く鏡花に声を掛ける。

(たし)かに、血のにおいがした。嗅ぎ慣れて居るから判る。きっと凄い出血量……

此の路地は差程入り組んで無い。だから、人が居るとしたら此の先。

行き止まりで開けた場所があった筈!」

周囲を素早く見渡し乍ら鏡花は角を曲がろうとする。

その時―――

チャキッ と金属音。
そして同時に、感じなかった人の気配。

「!」
「わっ!?」

鏡花は咄嗟に後ろに飛び退いた。

「……ぁ、すいませんッ!
此処から近くの医療機関を案内して呉れませんか!?」

角の反対側。
鏡花と敦の前には黒髪で大きな浅葱色の瞳の少年__青年にも見える__が居た。

整った顔立ちの少年は酷くボロボロで服の処々が擦り切れ、煤が付き赤く汚れて居る。

その少年は敦と鏡花には見慣れない鎧の一部__即ち『武具』を身に付けており、腰には少し短めの刀を提げて居た。

然しその刀も処々が黒ずんで、お世辞にも綺麗とは云えない状態だ。

「……貴方、その刀と怪我…」

鏡花の言葉に耳も貸さず、少年は刀に添えて居た手を解き敦達に頭を下げた。

「お願いしますッ!今すぐに治療を受けられる処に案内して下さい!
僕等の主……大切な人が瀕死の重傷で!!」

頭を下げた少年はかなり焦って居た。

『大切な人』『刺されて』『瀕死の重傷』

《……おい、敦?》

不意に流れた携帯からの声に敦はハッとした。

……目の前の人は、嘘を付いて居ない。
……少なくとも、今は疑って居る場合じゃ無い!!

「僕達をその人の元に案内して下さい!

__聞こえましたか?今から案内してもらいます。
判りました、探偵社に運びます!」

「ぁ、此方です!!」

敦の言葉を聞いた少年は奥の道に素早く身を翻した。

ふわりと揺れた髪の隙間から、赤い耳飾り(ピアス)が覗く。

「あ、与謝野さんですか?医務室の準備をお願いします!」
「敦、遅れないで!」

二人は少年を追った。

【第参話】 横浜:路地裏:晴れ→←薄闇の地



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乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時

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