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【第弍拾壱話】 横浜:探偵社内:応接室 ページ28

「ちょっ、太宰さん……膝丸さん達は異能力者ではないんですかね?」

膝丸と堀川が話し始めたので敦も隣に座る太宰に声を掛けた。
膝丸達が淡々と話すので、二人だけで話し始めたら口を挟めないのだ。

「……ぅーん、少なくとも異能の者ではないんだろうね。
異能が目覚めて居るのなら、何かしらの特徴がある筈だから。

そして、政府関係者の線が消えた。国は異能力の事を良く知って居るからね。
となると彼等が帯刀して居る理由が不明だ」

じっ……と太宰は膝丸達を見据える。

二人が肌身離さず持つ刀。
煤等の汚れが付いて居るが美しい造形だと、専門知識が無い素人でも判る。

加え、運ばれて来た少女の傷。

太宰は少し離れた場所で見たが少女に付いて居たのは『刺し傷』だった。
幅はそれ程広くなく、短刀(ナイフ)程の厚みは無い。

まるで刀で刺された(・・・・・・)様な傷口だ。

(刀傷……今の時代で古い刀を持つ者はどれだけ居る?
対峙したのが横浜の闇組織と仮定しても……否、刀の技術で此の人達が負ける?

有り得ない。姿勢、筋量……凡てを見ても戦闘技術は桁外れ。
探偵社の面子総出でも、誰も勝てない程強いだろう。

抑々……自分達の『主』を連れて行く?
何かしらの会合があって、本拠地に招いた敵に襲われた。とか?

……却下、会合だとしたら煤汚れの説明が出来ない。

そして相手が闇組織だったら尚更だ。消す相手ならば徹底的に消す。
逃げ切る事が出来るのならば、相手の失態?偶然?

否、反逆された?
でも膝丸さん達が闇組織なら、武装探偵社に頼る?
路地裏で偶然敦君達に会ったとしても、表組織に来るのは愚の極み。

抑々「俺達の敵」と云った時点で、味方であった可能性は低い。

あの女の子が『主』だし、首領だ。
首領を取り損なうなんてどれだけの馬鹿か……)

太宰は膝丸達の話から仮説を組み立てて行くが今の処、良い仮定が出て来ない。

知恵と経験を絞り出しても思考は闇に溶ける。
太宰にしては珍しく、思考を放棄してしまいたいと思う程だ。

「……えっーと、ではお二人は『異能力者』ではないんですね?」

黙った太宰を置き、敦は膝丸達に問い掛ける。
此の際『異能力』と『巫術』は同じモノだと敦は結論付けた。

「……俺達は『巫術』を使うものではないからな。『異能力者』では無いとなるだろう」

之で敦達(人間)膝丸達(付喪神)は互いに

『人間達は霊力者』『膝丸さん達は一般人』

と間違った方向で認識した。

【第弍拾弍話】 横浜:探偵社内:応接室→医務室→←【第弍拾話】 横浜:探偵社内:応接室



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乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時

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