【刀剣乱舞×文豪ストレイドッグス】 狂騒華櫻

結論と体制 >> 【第拾漆話】 ページ23

可能性は結果に。『有り得ない』は結論に。

事実と根拠を入り組んで、刀剣男士(彼等)の最悪は決定となる。

「俺達が知らない場所って……神域とか？」

「未開拓の時代とか土地でもそうでしょ。こんのすけ居ないから場所判んないし」

「抑々、主の霊力が辿れなきゃなぁ……」

自分達だけでは主を探す事が出来ない。神域ならば見付ける事など不可能に近い。
未踏ならば不安要素が多すぎて手が出せない。蓄えた霊力は着々と消費される｡

ズッシリと沈む空気の中、凛とした三日月の声が響いた。

「……何にせよ今の状態は最悪だ。主は居ない、重傷者が居る、こんのすけも居ない」

絶望的な状況下でも、『天下五剣の中 最も美しい』彼の瞳に浮かぶ三日月は未だ輝きを消しては居ない。

「だが『主は生きて居る』……それだけは史実だ｡

膝丸も堀川も物吉も、主の傍には刀剣男士が居る｡ 俺達の仲間が傍に居ると云う事だ」

最悪の状況下、凛として皆を纏めるのは三日月宗近(彼と云う者)の性格なのか、付喪神としての神力の差なのか。傍また『彼が一番信じて居る』からなのか｡

「此の本丸を俺達が守らなければ主達の居場所は無くなってしまう。主が生きて居るのなら、必ず俺達の場所に戻ろうとする筈だ。

俺達の主だから。『大切なもの』だから。

俺達が今出来ることは『今』を維持する事。俺達の居場所は消してはならぬ。
……皆、そうだろ？」

やんわりと微笑み、未だ希望は有ると皆に判らせる。

「それに……絶望の中で夢を見続ける事が出来ると、俺達の大半は知って居るだろう」

遠い記憶に馳せる様に、三日月は少しだけ目を伏せる。

三日月が思うものは何か？……それは三日月以外に判らない｡

だが、彼等は希望を胸に抱く。『主』は必ず戻って来ると信じられる｡

「そうだねぇ。僕の弟も折れてないし、僕等は僕等の出来ることをしよっか」

のんびりと膝丸が云う『兄者』。兄弟刀の髭切が「よっこいしょ」と立ち上がる｡

「えっ？！判るのかよ？」

「……俺達も何となくだが兄弟が折れてないのは判るぞ、和泉守」

「山姥切、本当か？！」

「カッカッカッ！安心しろ和泉守、兄弟刀は他の刀剣よりは縁が強い！
根拠も事実も無いが、兄弟は折れて居らん！気にするな！」

静かな声で話す山姥切と豪快に笑う山伏。どちらも堀川の兄弟だ。

「……今、この状況で俺達に出来る事は唯一つ｡

皆、方法は判るな？」

三日月は静かに問う｡
本丸の刀剣男士達は、皆頷いた。

＿＿→←仮定と可能性 >> 【第拾陸話】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す