第56回壁外調査10 ―潔癖症とは… ページ10
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「A、俺が手前の巨人の目を潰す。お前がうなじを削げ。…後ろのもう一体は俺がやる」
「はい!」
いつもの冷静なリヴァイ。
リヴァイの顔を見て、安心する自分がいる。
少し離れていただけだが、すごく長かったような気がした。
それは、死と隣り合わせの空間に身を置いているからに他ならない。
無事でよかった…
…なんて言ったら、人類最強に失礼かもしれない
が、それが本心。
リヴァイも同じように、自分のことを心配してくれていたのだろうか…
そんな、考えても不毛なだけの疑問が無意識に頭に浮かび、Aは慌てて一人小さく首を横に振った。
そんな時、宙を移動する中、リヴァイが少しだけAの方へ視線を送ってきた。
Aと目が合うと、小さく頷いてみせる。
まるで、「無事でよかった」と言ってくれているようで、Aは同じく頷きながら、小さな笑みを返した。
すると、リヴァイが僅かながらに頬を赤らめ、照れ隠しのように、フイと視線を逸らす。
それの様子を見て、Aはまた小さく笑った。
言葉はなくても、……それで十分だった。
「…行くぞ!」
「はい!」
Aはブレードを握り締め、気合いを入れる。
巨人に近づくと、リヴァイはブレードを勢いよく引き抜き、そのまま飛び道具のようにブレードを切り離すと、巨人の両眼めがけて突き立てる。
この技も逆手持ちと同様、リヴァイの専売特許と言っていいだろう。
巨人が両眼を押え、不気味な悲鳴を上げる中、Aは巨人の後方にアンカーを打つと、後ろに回り込み、うなじに向かってブレードを振りおろす。
―ザシュッ
うなじを削ぎ取って、後方のリヴァイに視線を送れば、すでにもう一体の巨人の後方からうなじを削ぎ落すところだった。
…やっぱり、速いな…
Aは素直に、リヴァイの動きに感嘆する。
屋根に降り立つと、リヴァイは「チッ…」と舌打ちし、取り出したハンカチで手についた巨人の血のりを拭き始めた。
潔癖症も大変だな…、と思いつつ、リヴァイの隣にAは降り立った。
「…リヴァイ。それじゃハンカチ何枚あっても足りないよ」
「…うるせぇな。汚ねぇもんはしょうがねぇだろうが。…ていうか、お前はもう少し気にしろ」
リヴァイはそう言って、Aの頬についた返り血をハンカチで拭い始める。
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沙羅(プロフ) - 罍罍さん» 通知が来てなくて、つい今しがた気づきました!!(泣)遅くなってしまい申し訳ありません!長い作品を読んで下さり本当にありがとうございます!エロカッコいい(//▽//)そんな兵長が大好きすぎます(笑)応援ありがとうございます!今後も精一杯頑張ります! (2018年3月1日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
罍罍 - 今、最初から全部読んでます!ヤバイ!!!!!兵長がエロかっこいいです(//∇//)!これからも頑張ってください! (2017年12月31日 16時) (レス) id: 4203201650 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - りあさん» りあさん!こんばんは!なんと通知が来ておらず、今頃コメントに気づきました〜(T□T)もう一ヶ月も前ですね!?レス遅くなってすみません!この作品を読んで下さって本当にありがとうございます!コメも☆も心より感謝です!完結まで精一杯頑張ります(>Д<)ゝ (2017年4月21日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
りあ - 沙羅さんこんばんは♪そう言って頂けて良かったです、余計なお世話だ~って言われたらどうしようかと…汗)自分だとなかなかこういうの気付きにくいですよね!読む側としては、読んで、コメして、お星様☆つけてというのがせめてものお返しなので♪今日、4読み終えました (2017年3月26日 22時) (レス) id: 33f147918f (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - りあさん» こんばんわ!早速修正しました〜ヽ(;▽;)ノ更新前にチェックしてるはずなのに、自分では気づかなかったリ、後々になって気づいたり…(T∀T)こうして教えて頂けるのはありがたいです!本当にありがとうございます! (2017年3月25日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
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