第56回壁外調査3 ―約束 ページ3
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「おい、A。…どこ行ってたんだ?」
Aの姿を見るなり、リヴァイはそう言った。
「時間があったから、ちょっと訓練兵団の兵舎の方に…。もしかして探してた?」
「…別に。…急げよ。もうじき出発だ」
「はい!了解です、リヴァイ兵長!」
Aはわざとらしく”リヴァイ兵長”のところを強調して言うと、馬の準備に取り掛かった。
リヴァイはそんなAの後ろ姿を見ながら、ため息交じりに息を吐く。
訓練兵団に所属していたときにできた友人に会いに行ってきたのだろう。
……確か、エレンといったか?
Aが熱中症で倒れた時に、医務室で付き添っていたヤツだ。
今でも交流があるらしいが、……まあ相手はクソガキだ。
別に気にすることでもない。
「……リヴァイ」
Aの声に顔を上げると、Aが真剣な眼差しでリヴァイを見つめていた。
「私は絶対に死なない。…だから、リヴァイも絶対に死なないで」
Aの言葉に、リヴァイは少しだけ目を細めた。
「馬鹿が。…誰に言ってる。俺が死ぬわけねぇだろうが。お前こそ死んだら許さねぇからな」
「…大丈夫。約束は守る。…そして、私は私の役割を果たす。いつも通りに」
そう言ったAの瞳は強さを秘めていた。
そして、Aが口にした言葉の意味を理解しながら、リヴァイは静かにそれを呑み込んだ。
「…あぁ、わかっている。…お前を信じる」
リヴァイはそう言って微かに笑うと、Aの頭を優しく撫でた。
「また、ガキ扱い!」
「…なら、キスでもするか?」
「ッ…絶対からかってるでしょ!?」
頬を赤くしながら、Aはリヴァイの言った言葉を思い出していた…。
『俺は、壁外でお前を守れない』
リヴァイが言った言葉。
『大丈夫。私は守られなくても大丈夫なくらい強くなる。絶対に死んだりなんかしない』
私が返した言葉。
絶対に重荷になんてならない。
この人が兵士長として、そして人類の希望として任務を果たせるよう、私は私の役割を果たす。
そして、必ず生きて帰る。
あなたの元へ……
兵士は、人類に心臓を捧げると誓った身だ。
だから今日も『自由の翼』を背に、死と隣り合わせ覚悟に壁の外へと踏み出す。
きっとみんな大切な人のことを思い浮かべながら、この門をくぐる。
そして生きて帰ってこようと誓う。
人は儚くて、そして……強い。
きっと希望を失わない限り、自由は取り戻せる…―――
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沙羅(プロフ) - 罍罍さん» 通知が来てなくて、つい今しがた気づきました!!(泣)遅くなってしまい申し訳ありません!長い作品を読んで下さり本当にありがとうございます!エロカッコいい(//▽//)そんな兵長が大好きすぎます(笑)応援ありがとうございます!今後も精一杯頑張ります! (2018年3月1日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
罍罍 - 今、最初から全部読んでます!ヤバイ!!!!!兵長がエロかっこいいです(//∇//)!これからも頑張ってください! (2017年12月31日 16時) (レス) id: 4203201650 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - りあさん» りあさん!こんばんは!なんと通知が来ておらず、今頃コメントに気づきました〜(T□T)もう一ヶ月も前ですね!?レス遅くなってすみません!この作品を読んで下さって本当にありがとうございます!コメも☆も心より感謝です!完結まで精一杯頑張ります(>Д<)ゝ (2017年4月21日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
りあ - 沙羅さんこんばんは♪そう言って頂けて良かったです、余計なお世話だ~って言われたらどうしようかと…汗)自分だとなかなかこういうの気付きにくいですよね!読む側としては、読んで、コメして、お星様☆つけてというのがせめてものお返しなので♪今日、4読み終えました (2017年3月26日 22時) (レス) id: 33f147918f (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - りあさん» こんばんわ!早速修正しました〜ヽ(;▽;)ノ更新前にチェックしてるはずなのに、自分では気づかなかったリ、後々になって気づいたり…(T∀T)こうして教えて頂けるのはありがたいです!本当にありがとうございます! (2017年3月25日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
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