番外編【the nights eternal】3 ページ8
・
――それから、Aに促されるままに身支度をすると、二人で街へと出かけた。
いつも通りの兵団服を着て、並んで隣を歩くA。
いつもと変わらず、自分に話しかけてくるAの笑顔。
これが夢ならば…醒めないで欲しい…
頭の片隅で、時折そんな思いが脳裏を過る。
そんな考えが頭の中をちらつく時点で、わかっている。
わかっていても、それでも…―――
「…あ！見て、リヴァイ！あそこだよね！」
Aの声が弾み、俺の方を見て指差した。
その指の先には、懐かしい店。
そう、あの店は確か……
「ほら！リヴァイが私を連れて行ってくれた、紅茶の美味しいお店！」
Aに手を引かれるまま、一緒に店内へと入った。
あれはまだ、俺達が出会って間もない頃――
調査兵団へ正式に入団したばかりのAを連れて、街へ出たことがあった。
まだお前は俺に対しても反抗的で、強い瞳をしている癖に、いつ死んでもいいなんて馬鹿げたことを思っている面をしていた。
そんなお前を、俺は放っておくことができずにいて…
そして、いくつかの壁を乗り越え、お前は本当の強さを身につけた。
だから、…いや、だからこそ――――
「わぁ！やっぱりここの紅茶は美味しいね！」
運ばれてきた紅茶に口をつけると、Aが感嘆の声をあげた。
紅茶の優しい香りが、辺りに漂っている。
「やっと一緒に来ることができたね。ずっと、また行ってみたいって思ってたから嬉しい」
向かいの席に座るAは、本当に嬉しそうだった。
「…あぁ。そうだな。…もっと早く、連れてくることができればよかったんだが」
「無理しなくて大丈夫だよ！リヴァイが忙しいのは、私もよくわかってるんだから。それに、今日こうして付き合ってくれてるし。ほら、リヴァイも飲んでみて！」
「…あぁ」
紅茶の味は、変わらず美味かった。
あの頃と変わっていない。
変わったのは…―――
「ね、美味しいでしょ？」
「あぁ。…店も紅茶の味も変わってねぇな」
「そうだね。…今度はさ、ペトラ達も一緒に来れたらいいね。きっとみんな喜ぶと思うなぁ」
Aの口から何気なく出た言葉に、ズキリと心臓に激痛が走った。
それと共に、一瞬にして脳裏にはっきりと蘇るあの光景。
――4人の、無惨な最期の姿…
知らぬ間に、指先だけが微かに震えていた。
・
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つきみん(プロフ) - 2日間でシリーズ全部読み切っちゃうほど最高の作品でした...！！微笑ましいシーンと所々涙が止まらないシーンがどちらもすばらしくて、原作を読み切った時と同じ気分になりました...！言葉には表しきれないほどの神作品をありがとうございました！！ (11月26日 23時) (
レス) @page14 id: 44653e4d43 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - めっちゃ素敵で感動するお話でした。他にもたくさんのお話を書いてほしいです！！ (9月10日 20時) (レス) @page14 id: d425432768 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 番外編ではないほうを読みました！途中のエレンが泣いているところからつられて私も泣いてしまいました。この作品は神作品です！一生忘れません。 (9月10日 20時) (レス) id: d425432768 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - まややさん» コメントが遅くなってしまいすみません(>_<)シリーズを通してたくさんの嬉しいコメントをいただきありがとうございます！そしてこんな長い作品を読んでいただき本当にありがとうございました！自分でも長すぎてビックリです(^^;番外編はあと少しなので頑張ります！ (2020年10月27日 23時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - ぐううううう泣なんでこんなに語彙力あるんですか。。すごすぎて。進撃の巨人の作者さんにもこれ読んで欲しい。感傷的な曲を聴いてたら泣いてしまいました (2020年10月24日 17時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
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