番外編【another end】2 ページ2
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重くなった
やや霞んでいる視界の中で、風に揺れている白いカーテン。
目の前のベッドには、静かに眠るAの姿。
シーツの上には、重なり合った自分の手とAの手。
重ねたままの手の平を握り締め、伝わってくる温もりを確かめると、リヴァイは思わずゆっくりと安堵の息を吐いた。
いつの間にかウトウトしてしまったのだろう。
もう丸3日ほとんど寝ていないのだから、仕方ないと言えばそうなのかもしれない。
もちろん身体に疲労感がないわけではない。
それでも、頭だけは何とか冷静さを保っているはずだった。
いや…そんなわけがない。
冷静を装っているだけだ。
空いている方の手のひらで、少し汗ばんだ額を押さえる。
ついさっき見た夢の映像が、まだ脳裏に焼きついていた。
腕の中の身体が冷たくなっていく感覚も、生々しい程に肌に残っている。
巨大樹の森でAと再会した時の光景と重なり、思わず指先が小さく震えた。
『兵長は、平気だったんですか…!?』
エレンの言葉が同時に脳裏をかすめた。
平気なわけねぇだろ
クソガキ…
絡ませた指先にキュッと力を込める。
胸の痛みを押し隠すかのように。
Aの苦しそうな表情
消え入りそうな声
兵団服を染めた血の色
そして、あの時交わしたキスの感触…
全て鮮明に覚えている
あの時、別の選択ができたなら
何もかも手放して、お前との幸せを考えることができたなら
人類の行く末など、どうだっていい
そうすれば、お前は…――――
拭いきれない葛藤を、胸の奥底に封じ込める。
後悔はしない
そんな偉そうなことを口にしたくせに
ふとした拍子に心の中がざわめき、不安が押し寄せてくる
『…だから、…あなたを愛していてもいいですか…?』
今ならば、少しだけわかるような気がした。
あの時、Aは全てを覚悟していたのだと思う。
”こうなる”ことを…―――
失うことが怖かった。
死と隣り合わせの世界で、愛し合うことのジレンマ。
それを全て受け入れた上で、それでもAはそこから逃げることをしなかった。
守れねぇなんて
自分勝手な言葉を吐いた俺に
お前は笑って
こんな身勝手な俺を
…それでも…愛して…――――
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つきみん(プロフ) - 2日間でシリーズ全部読み切っちゃうほど最高の作品でした...!!微笑ましいシーンと所々涙が止まらないシーンがどちらもすばらしくて、原作を読み切った時と同じ気分になりました...!言葉には表しきれないほどの神作品をありがとうございました!! (11月26日 23時) (レス) @page14 id: 44653e4d43 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - めっちゃ素敵で感動するお話でした。他にもたくさんのお話を書いてほしいです!! (9月10日 20時) (レス) @page14 id: d425432768 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 番外編ではないほうを読みました!途中のエレンが泣いているところからつられて私も泣いてしまいました。この作品は神作品です!一生忘れません。 (9月10日 20時) (レス) id: d425432768 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - まややさん» コメントが遅くなってしまいすみません(>_<)シリーズを通してたくさんの嬉しいコメントをいただきありがとうございます!そしてこんな長い作品を読んでいただき本当にありがとうございました!自分でも長すぎてビックリです(^^;番外編はあと少しなので頑張ります! (2020年10月27日 23時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - ぐううううう泣なんでこんなに語彙力あるんですか。。すごすぎて。進撃の巨人の作者さんにもこれ読んで欲しい。感傷的な曲を聴いてたら泣いてしまいました (2020年10月24日 17時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
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