重ねた手の平 ページ9
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窓からは穏やかな日差しが差し込んでいる。
静かな部屋の中。
リヴァイはAが眠るベッドの横にある椅子に掛け、その寝顔を見つめていた。
白いシーツの上。
眠っているAの手と、重ね合わせている手の平。
ギュッと少し力を入れれば、握り返してくるのではと思うが、その指先に力はない。
ただ、Aの温もりは確かに伝わってくる。
その温もりが、幾分かリヴァイを安心させる材料となる…。
帰還してから丸2日が経っていた。
壁内に戻ってすぐに、Aには必要な医療処置が施された。
あとは意識が回復するのを待つばかり。
…だが、2日経った今もAが目を覚ます様子はない。
ふいに、窓にかかるレースのカーテンがフワリと揺れる。
外から舞い込んできた風が、静かに目を閉じているAの前髪を優しくすくい揺らした。
こうしていると、本当にいつものように眠っているだけなのでは…とそう思う。
そのうち、フッと目を覚ましたAが、「おはよう、リヴァイ。…どうしたの？いつもより目の下の隈がひどいよ」なんて言って、
いつものように笑って、いつものように俺に笑顔を向けて、
―何事も…なかったかのように…―――
そんな幻想を繰り返し願ったところで、現実が変わりはしないのだが……
わずかに体勢を変えようとした時、ふとした拍子に左足に激痛が走った。
「っ……チッ…」
思わず舌打ちし視線を落とすと、自分の忌々しい足を見つめる。
あの時の怪我が、思いのほかダメージを残していた。
日常生活にそれ程支障があるわけではないが、立体機動を使うとなると通常通りの動きは難しい。
…とは言っても、立体機動を使うどころか、調査兵団の存続すら危い、というのが現状なのだが…
今回の失態は、支持母体を失墜させるには十分過ぎた
多額の資金をつぎ込み、多くの犠牲者を出したにも関わらず、それに見合う結果がない
唯一の成果と言えば、知性を持った巨人がエレン以外にも存在するという事実を得たことか
だが、逃してしまったのでは意味がない
たとえその事実を上へ説明しようとも、証拠がないのでは説得力を持たないだろう
第一、頭の固い憲兵や平和ボケした中央の連中が、その事実を受け入れるかどうかさえ疑わしい
全ては、―――――今回、女型を逃してしまった『結果』だ…
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berumanami0220(プロフ) - こんなに長く書き切ってくれてありがとうございました！すごく素敵なお話でした (4月6日 19時) (
レス) id: c0ff4540c3 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - 泣いちゃった。。ジャンの変装シーンってどういうことですか？この長編を描き切るなんて素晴らしいです！！ (2020年10月24日 16時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - コットンキャンディーさん» コメントありがとうございます！こんなに長い小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。嬉しいコメントまで、ありがたいばかりです(泣)だいぶ前に書いた作品ではありますが、こうして読んでくださることに心より感謝です！ありがとうございました(T-T) (2020年5月8日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
コットンキャンディー(プロフ) - こんにちは。今更ながら読ませていただきました！この章では泣いてしまいました本当に。こんな小説を書けるなんてすごいです！この小説を書いて下さりありがとうございました！とても面白かったです！ (2020年5月6日 12時) (レス) id: 5295ad42ac (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます！そんな風に泣いていただけるなんて…本当にありがとうございます！最後の終わり方はいろいろと悩んだので、そう言っていただけると嬉しいです(泣)この作品を読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年9月25日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
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