結果 ページ32
・
リヴァイはAを見つめたまま、全く動く気配がない。
今までと違う空気に気づき、ハンジはハッと足を止めた。
視線を移したベッドの上。
Aのその両手が胸の上で組まれている姿を見て、音もなく息を呑む。
「―――ッ……ま…さか…」
「……ああ。…ついさっきだ」
リヴァイの声は低く静かなものだった。
それでもはっきりとハンジの耳に届いた。
ベッドの側へと駆け寄ったハンジは静かに眠るAに視線を落とすと、強く唇を噛み締めた。
「…なんでだよ…ッ…A…。こんなことって……ッ」
「……やはり俺には、Aを幸せにしてやることなどできなかった…」
これまでまともな生き方をしてこなかった自分が、誰かの幸せを考えるなど、所詮おかしな話だったのだ
幼い頃から強さが全てだった
戦いの中でしか、生きることを知らない
そんな自分が…
「…
「……リヴァイ…」
いつからか、おそらく自分は心のどこかで覚悟していた
Aが血まみれの姿で倒れていた、あの悪夢を見た時からなのか
Aを愛した時からなのか
それとも、もっと前からなのか…
そんな自分に苛立ちを感じる
憤りを覚える
冷たい人間だと…そう思う
『俺は壁外でお前を守れない…――――』
自分で言っておきながら、今更ながらに笑えもしねぇ
その結果がこれだ
全ては自分が招いたこと…
これまで幾度も、兵士たちを死の淵へと導いてきた
人類の自由の為という、大義を掲げ
どれだけの血が流れようと
どれだけの屍の山ができようと
そして、たった2年足らずで、自分の愛する人さえも…地獄に送っちまった
――――最低だ…
「…どうして…お前は俺なんか……ッ…」
「……リヴァイ、…これを……」
自問自答を繰り返すリヴァイの目の前に、ハンジが何かを静かに差し出した。
リヴァイがわずかに視線を上げる。
それは、手の平に収まるくらいの小さな手帳だった。
濃い緑色をした表紙は、その所どころが赤黒く染まっている。
「……これ…は…？」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1870人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
berumanami0220(プロフ) - こんなに長く書き切ってくれてありがとうございました！すごく素敵なお話でした (4月6日 19時) (
レス) id: c0ff4540c3 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - 泣いちゃった。。ジャンの変装シーンってどういうことですか？この長編を描き切るなんて素晴らしいです！！ (2020年10月24日 16時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - コットンキャンディーさん» コメントありがとうございます！こんなに長い小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。嬉しいコメントまで、ありがたいばかりです(泣)だいぶ前に書いた作品ではありますが、こうして読んでくださることに心より感謝です！ありがとうございました(T-T) (2020年5月8日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
コットンキャンディー(プロフ) - こんにちは。今更ながら読ませていただきました！この章では泣いてしまいました本当に。こんな小説を書けるなんてすごいです！この小説を書いて下さりありがとうございました！とても面白かったです！ (2020年5月6日 12時) (レス) id: 5295ad42ac (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます！そんな風に泣いていただけるなんて…本当にありがとうございます！最後の終わり方はいろいろと悩んだので、そう言っていただけると嬉しいです(泣)この作品を読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年9月25日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
