死 ページ31
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窓から吹き込む風はこれまでと変わらないというのに、何も感じない。
まるで二人がいる空間だけが切り取られ、時間の流れが止まったかのように。
ゆっくりと腕を伸ばすと、リヴァイは目の前で眠るAの頬へとそっと触れた。
とても…綺麗な顔をしていた。
今にも目を開けそうな程に…。
だが、ついさっきまで感じられたはずの温かさはもうそこには跡形もない。
指先に伝わってくるのは…冷たい感触。
その事実が逃れられない現実を突き付ける。
熱を失ってしまった身体からは、もう体温すら感じることさえできない。
目の前にあるのは紛れもない――――『死』…
これまで数え切れない程、目にしてきたはずだった
いくつもの屍を乗り越え、絶望を繰り返してきたはずだった
だが、これまで味わったきたどれとも違う
胸の中に巣くうこの感覚は、何なのか…
自分が何を失ってしまったのか、理解することすら怖い
今目の前で横たわる愛する人の心臓は、もう二度と動くことはない
目を開くことも
声を聞くことも
言葉を交わすことも
あの笑顔を見ることも…
どんな言葉も、もう届きはしない
抱きしめたって、その身体は何も感じない
何も届かない
何も感じない
何も
何も…―――
熱を失った白い頬の上を、ゆっくりと指先を滑らせた。
涙の軌跡をたどるように。
最期に、その頬を伝ったのは、確かに涙…
その意味は、何だったのか…――
――お前にとって、本当にこれでよかったのか…
何を今更と、そんなありきたりの思考であることは十分承知している
考えても仕方ないことも十分過ぎる程わかっている
だが、考えずにはいられなかった
もしあの時、俺が別の選択をしていたら、もしかしたらお前は…
後悔しないようにと選択したはずなのに
結局、俺は…―――
伸ばした手を思わず強く握りしめたその時、リヴァイの後ろでドアをノックする音が響いた。
「……リヴァイ？…開けるよ」
返事がないことを疑問に感じつつ、ドアをゆっくりと開き、入ってきたのはハンジだった。
「…ちゃんと起きてるじゃないか、リヴァイ」
看病に疲れ、眠っていると思ったのだろう。
リヴァイがAの側にいる姿を確認してほっとしたハンジは、胸を撫で下ろしながら二人の方へと近づいた。
「そろそろ王都へ向けて馬車が出発する時刻だ。離れるのは辛いだろうけど、Aの付き添いはニファに代わってもらって…――」
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berumanami0220(プロフ) - こんなに長く書き切ってくれてありがとうございました！すごく素敵なお話でした (4月6日 19時) (
レス) id: c0ff4540c3 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - 泣いちゃった。。ジャンの変装シーンってどういうことですか？この長編を描き切るなんて素晴らしいです！！ (2020年10月24日 16時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - コットンキャンディーさん» コメントありがとうございます！こんなに長い小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。嬉しいコメントまで、ありがたいばかりです(泣)だいぶ前に書いた作品ではありますが、こうして読んでくださることに心より感謝です！ありがとうございました(T-T) (2020年5月8日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
コットンキャンディー(プロフ) - こんにちは。今更ながら読ませていただきました！この章では泣いてしまいました本当に。こんな小説を書けるなんてすごいです！この小説を書いて下さりありがとうございました！とても面白かったです！ (2020年5月6日 12時) (レス) id: 5295ad42ac (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます！そんな風に泣いていただけるなんて…本当にありがとうございます！最後の終わり方はいろいろと悩んだので、そう言っていただけると嬉しいです(泣)この作品を読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年9月25日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
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