疑念の中 ページ27
・
重くなった
風に揺れる白いカーテン。
ベッドのシーツの上で、重なり合った自分の手とAの手…。
いつの間にかウトウトしていたのだろうか…
椅子にかけた状態で、知らないうちにもたれ掛かっていた上半身をベッドから起こす。
重ねたままの手の平を無意識に握り締め、伝わってくる温もりを確かめると、リヴァイは小さく息を吐いた。
もう丸3日、ほとんど寝ていない。
身体に疲労感がないわけではない。
それでも、身体から意識が切り離されたかのように、頭だけは何とか冷静さを保っていた。
”作戦”の決行は今日―――。
急に呼び出されたあの会議の後、昨日の夕方にはエレンの身柄は憲兵に引き渡された。
エルヴィンや自分も含め、この後王都へと招集される。
迷っている暇もない
考えている余裕もない
事態がどう転ぶかは、終わってみないとわからない
”それ”に賭けるしかないのが、現状なのだ
自分も人のことは言えないかもしれないが、エルヴィンのヤツはとんでもない賭けに出た
いや、正確にはその話を持ってきたのは、エレンの馴染みのガキの一人だという
その推理に確証はない
証拠もない
もし作戦が失敗すれば、兵士だけではなく一般市民にも犠牲が出るだろう
そこにはもちろん、女、子どもも含まれる
それでも、このまま何もしないわけにはいかない
―――人類が、生き残る為には…
いや
果たして、それは正しいのだろうか…
ふと脳裏を過るのは、あの巨大樹の森の中で、女型から離れる時のこと
エレンを取り戻し最後に振り返った時、ヤツが流していたのは確かに…―――涙
何故…
わからない
わかるはずもない
あれだけ仲間たちを、まるで虫けらでも殺すかのように惨殺しまくったヤツが
そして、ヤツはエレンを食うことはせず、口に含んで逃げていた
ヤツの目的はミカサの言ったようにエレンを連れ去ることなのか
何の為に…？
わからない
わからないことばかりだ
敵は何人いる？
どこに潜んでいる？
巨人化できる人間とは？
巨人とは果たして何なのか…？
そして、人類にとっての敵とは？
自分達は一体、”何と”戦えばいいのか…
なぁ、A…
お前はどう思う…？
結局何一つわからないまま、今日さらに犠牲を重ねることになるのだろう
そんなこと誰一人として、望んでいないとしても……
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berumanami0220(プロフ) - こんなに長く書き切ってくれてありがとうございました！すごく素敵なお話でした (4月6日 19時) (
レス) id: c0ff4540c3 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - 泣いちゃった。。ジャンの変装シーンってどういうことですか？この長編を描き切るなんて素晴らしいです！！ (2020年10月24日 16時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - コットンキャンディーさん» コメントありがとうございます！こんなに長い小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。嬉しいコメントまで、ありがたいばかりです(泣)だいぶ前に書いた作品ではありますが、こうして読んでくださることに心より感謝です！ありがとうございました(T-T) (2020年5月8日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
コットンキャンディー(プロフ) - こんにちは。今更ながら読ませていただきました！この章では泣いてしまいました本当に。こんな小説を書けるなんてすごいです！この小説を書いて下さりありがとうございました！とても面白かったです！ (2020年5月6日 12時) (レス) id: 5295ad42ac (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます！そんな風に泣いていただけるなんて…本当にありがとうございます！最後の終わり方はいろいろと悩んだので、そう言っていただけると嬉しいです(泣)この作品を読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年9月25日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
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