溢れる涙 ページ22
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そう言ったリヴァイの瞳は強い光を秘めていた。
「だから、後悔はねぇ。いや、正確に言えば後悔はしない。……たとえ、どんな結果になろうとも…な」
「……兵…長…」
平気なわけがない
わかりきっていたことなのに
怪我を負ったAを一人残して行くことが、どれ程辛かったか
どんな思いでAが一人残ったのか
そして二人が、どれ程の覚悟で
それを選択したのか…
失われた仲間の命
二人が下した決断
その全てを、今の自分は……
リヴァイの瞳が静かにエレンを見つめる。
「…いいか？お前の命はもう自分だけのものじゃねぇ。お前は人類の希望を背負ってる。お前が泣こうが喚こうが背負った運命は変わらねぇんだ。…いい加減それを自覚しろ、エレン」
「……兵長…」
「強くなれ、エレン。その運命に負けない程にな。…そして、絶対に仲間の死を無駄にするんじゃねぇ。救われた命をどう使うかを考えろ。それが…アイツらに対する、せめてもの報いだ」
そう言うとリヴァイはエレンの頭の上にポンと手を乗せた。
「だから、必要以上に自分を責めるんじゃねぇ。そんなことしたって何も変わりはしねぇし、アイツらだって喜びやしねぇよ。…Aもな。それよりも自分ができることを考えろ」
エレンの瞳からポタポタと涙が零れ落ちる。
「…すみません…兵長っ。俺…ひどいこと…。兵長が一番…辛いってわかってるのに……っ。…Aさん…大丈夫ですよね。絶対、絶対…目を覚ましてくれますよね…ッ」
「…心配するな。Aは必ず目を覚ます」
リヴァイの手がやや乱暴にぐしゃぐしゃとエレンの頭を撫でる。
「…お前がAのこと、守ってくれたんだろう？」
「………ッ」
リヴァイが静かに口にしたその言葉は、エレンにとって思いがけないものだった。
「ッ……兵…長…っ…俺…―――」
大きな瞳から新しい涙がボロボロと溢れ出す。
何か言おうとしても、それ以上言葉にならなかった。
気づけばエレンは声をあげて泣いていた。
許せないのは変わらない
自分の弱さも
自分の過ちも
悲しくて
苦しくて
悔しくて
やりきれなくて
でもその言葉に、ほんの少しだけ救われたような気がして…
いろんな感情がごちゃ混ぜになって、後から後から止めどなく涙が溢れ出した。
身体を震わせまるで子どものように泣きじゃくるエレンの側に、リヴァイは落ち着くまで寄り添っていた。
ただ何も言わずに、ずっと……。
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berumanami0220(プロフ) - こんなに長く書き切ってくれてありがとうございました！すごく素敵なお話でした (4月6日 19時) (
レス) id: c0ff4540c3 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - 泣いちゃった。。ジャンの変装シーンってどういうことですか？この長編を描き切るなんて素晴らしいです！！ (2020年10月24日 16時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - コットンキャンディーさん» コメントありがとうございます！こんなに長い小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。嬉しいコメントまで、ありがたいばかりです(泣)だいぶ前に書いた作品ではありますが、こうして読んでくださることに心より感謝です！ありがとうございました(T-T) (2020年5月8日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
コットンキャンディー(プロフ) - こんにちは。今更ながら読ませていただきました！この章では泣いてしまいました本当に。こんな小説を書けるなんてすごいです！この小説を書いて下さりありがとうございました！とても面白かったです！ (2020年5月6日 12時) (レス) id: 5295ad42ac (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます！そんな風に泣いていただけるなんて…本当にありがとうございます！最後の終わり方はいろいろと悩んだので、そう言っていただけると嬉しいです(泣)この作品を読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年9月25日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
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