瞳の奥の不安 ページ17
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エレンが『ここ』に来れなかった理由。
ハンジが『塞ぎこんでいる』と言っていた理由。
その理由に、ある程度の察しはつく。
「…身体は平気か？」
相変わらず視線を合わせようとしないエレンに、リヴァイはそう声をかけた。
「…は、はい。…何ともないです」
うつむいたまま、小さくそう答える。
「…いつまでそこにつっ立ってるつもりだ。中に入れ」
「っ…あ、あの、突然すみません。け、けど、迷惑じゃ……」
「…Aに会いに来たんだろ？いいからさっさと入れ」
リヴァイのやや強い口調に視線を上げると、エレンはようやくリヴァイと目を合わせた。
その大きな瞳が不安そうに揺れる。
リヴァイは何も言葉は返さず、ただその瞳を見つめ返した。
再び視線を落としたエレンは、戸惑いながらも部屋の中へと足を踏み入れる。
窓際のベッドに横たわるAの姿。
エレンはゆっくりとベッドの側まで近づくと、足を止めた。
数日ぶりに会うAは、本当にただ…眠っているようだった。
腕に巻かれた包帯が痛々しいが、それ以外は何も変わりない。
いつも自分を元気づけてくれていたAの姿。
明るくて、いつも自分のことを気遣ってくれて、優しい言葉をかけてくれた。
ある種の孤独を感じていた自分にとって、どれだけその存在に支えらたかわからない。
あの古城に移ってからはなおさら…。
「……A…さん…」
エレンは手を伸ばすと、指先で軽くAの手に触れた。
触れた部分から、Aの温もりが伝わってくる。
そのことに、ほんの少しだけ安堵できたように思えた。
だがそれは一瞬のことで、すぐに大きな不安が身体を埋め尽くしていく。
現実は、目の前のAは眠っていいるのではない。
Aの意識が戻らない。
そのことをエレンが聞いたのは、ハンジからだった。
適切な治療は施したが、まだ意識が戻らない、と
この数日が山だろうと医師から話があった、と
そして、リヴァイがAの側にずっと付き添っている、と…
ショックという言葉では言い表せない。
それ程、エレンはその事実に打ちのめされた。
Aの意識が戻らない
その事実に
怖くて仕方なかった
怖くて、だた怖くて怖くて…――――
エレンの瞳から大粒の涙が零れ落ちた。
「…全部、俺の…せいです…っ」
その肩が小さく震える。
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berumanami0220(プロフ) - こんなに長く書き切ってくれてありがとうございました！すごく素敵なお話でした (4月6日 19時) (
レス) id: c0ff4540c3 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - 泣いちゃった。。ジャンの変装シーンってどういうことですか？この長編を描き切るなんて素晴らしいです！！ (2020年10月24日 16時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - コットンキャンディーさん» コメントありがとうございます！こんなに長い小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。嬉しいコメントまで、ありがたいばかりです(泣)だいぶ前に書いた作品ではありますが、こうして読んでくださることに心より感謝です！ありがとうございました(T-T) (2020年5月8日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
コットンキャンディー(プロフ) - こんにちは。今更ながら読ませていただきました！この章では泣いてしまいました本当に。こんな小説を書けるなんてすごいです！この小説を書いて下さりありがとうございました！とても面白かったです！ (2020年5月6日 12時) (レス) id: 5295ad42ac (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます！そんな風に泣いていただけるなんて…本当にありがとうございます！最後の終わり方はいろいろと悩んだので、そう言っていただけると嬉しいです(泣)この作品を読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年9月25日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
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