願いと祈り ページ14
・
リヴァイの判断は正しかったと思う
全てのことにおいて
人類存続の希望ともいえるエレンを失うことは、何としても避けなければならない
その為に、何を引き換えにしようとも
優先すべき事項という視点において、リヴァイの判断は間違っていない
それでも…いや、だからこそ、リヴァイの中で今もいくつもの感情がひしめき合い、葛藤から抜け出せずにいるのがわかる…
リヴァイ班のメンバーは、特別作戦班を編成するにあたりリヴァイ自らが選んだメンバーだ
彼がどれ程彼らのことを信頼していたか
気を許していたか
あの古城へも度々訪ねていた自分は、よく知っている
メンバーの絆の強さも
いつも笑顔が溢れ、自分にとっても温かい場所だった
あの無愛想なリヴァイでさえ、馴染む程に…
その喪失感はどれ程のものか
その悔しさはどれ程のものか
自分もやりきれない思いは同じだが、今のリヴァイが背負うものはそれ以上の…
そして、最愛の人は、一命を取り留めはしたものの未だ目の前で眠ったまま、目を覚まさない
その心中を察するには、痛みが強すぎる
もしも、彼女まで失ったとしたら、彼は…――――
あの時
血まみれのAの身体を抱え、リヴァイは森の中から戻って来た
救護班にAを渡し、切迫した声で「早く手当てを！」と叫ぶ彼の表情は、いつもの冷静なリヴァイではなかった
声をかけるのも、
こんな風に取り乱すこともあるのだと、そう思った
『アイツを失いたくねぇ…』
星空の下、リヴァイが呟くように小さく言った言葉を思い出す
あの夜、人類最強が溢した弱音ともとれる言葉は、間違いなく心の底に秘めた切なる願いだった
現実の厳しさを、知っているからこその
私達は繰り返される戦いの中で、失うことを幾度となく繰り返してきた
だから、失うことの怖さを、嫌という程知っている
そして、戦いが続く限り、これから先も失い続けるだろう
だけど、どうか…
必ず戻ってきてくれよ、A
私達の為に
そして、愛する人の為に……
握った拳をギュッと力強く握り締めると、ハンジは踵を返し、ゆっくりと重い足を踏み出した。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1870人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
berumanami0220(プロフ) - こんなに長く書き切ってくれてありがとうございました！すごく素敵なお話でした (4月6日 19時) (
レス) id: c0ff4540c3 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - 泣いちゃった。。ジャンの変装シーンってどういうことですか？この長編を描き切るなんて素晴らしいです！！ (2020年10月24日 16時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - コットンキャンディーさん» コメントありがとうございます！こんなに長い小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。嬉しいコメントまで、ありがたいばかりです(泣)だいぶ前に書いた作品ではありますが、こうして読んでくださることに心より感謝です！ありがとうございました(T-T) (2020年5月8日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
コットンキャンディー(プロフ) - こんにちは。今更ながら読ませていただきました！この章では泣いてしまいました本当に。こんな小説を書けるなんてすごいです！この小説を書いて下さりありがとうございました！とても面白かったです！ (2020年5月6日 12時) (レス) id: 5295ad42ac (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます！そんな風に泣いていただけるなんて…本当にありがとうございます！最後の終わり方はいろいろと悩んだので、そう言っていただけると嬉しいです(泣)この作品を読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年9月25日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
