何気ない風景の中で ページ11
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その時、ドアをノックする音がリヴァイの耳に届いた。
返事を返すと、そちらへと視線を送る。
「…お前がノックするとはな。頭でも打ったか？」
「私だってそれくらいの配慮はできるつもりだよ。…Aの様子は…？」
リヴァイの皮肉を軽く流すと、ハンジがそう尋ねる。
それに対しリヴァイは沈黙で答えた。
その沈黙にどうしようもなく、胸が…痛む。
ベッドの側まで行き、「少しは休んだのかい？」と声をかければ、「…ああ」と答える。
だが、Aを見つめるその横顔からは明らかに疲れが見てとれた。
「私に嘘ついたっていいことなんかないよ。その様子だとずっと寝てないだろ？食事もろくに摂っていないとモブリットやニファから聞いてる。リヴァイの身体がもたないよ。…心配なのは…もちろんわかるけどさ…」
「…俺の身体はそんなに柔じゃねぇよ」
「もう三十路だし歳の事も少しは考慮し…いって〜ッ！？」
「…蹴られる為にわざわざ来たのか？」
「そんなことしたら怪我に響くよ？」
「大きなお世話だ」
「いや…もしよかったら少しの間付き添いを代わろうかと思ってさ」
「…その必要はねぇよ」
「…けど…―――」
「大丈夫だと言っている、ハンジ」
有無を言わさないリヴァイの言葉。
自分と話をしている間もAの手を離さないリヴァイを見て、ハンジは諦めたかのように小さく息をついた。
「…わかったよ。何も言わないよ。…ただ、少しは寝る時間もとりなよ。Aが目を覚ました時リヴァイが倒れてたんじゃ元も子もないからね」
「…うるせぇ。テメェに言われなくたってわかってる」
ハンジはAの枕元まで行くと、そっと手を伸ばした。
「A、早く目を覚ましてあげないとリヴァイが倒れちゃうよ。お願いだから、早く目を覚ましてくれよ…」
優しい仕草でAの頭を撫でながら、その瞳が切なく揺れる。
「…眠っているだけ、だよね…？」
確認するように小さく呟いたハンジの問いかけに、リヴァイはわずかにだけ目を細めた。
「…あぁ。その内すぐに目を覚ます」
またフワリと穏やかな風が窓から入り込み、カーテンを優しく揺らした。
そんな何気ない風景は、つい数日前までの日常と何一つ変わらないというのに…
今、目の前にある『現実』は、壁外調査前のそれとは何もかもが違う
何もかもが変わってしまった
あまりにも変わり過ぎて、
頭も身体も心も、今だ追いついていけない程に…―――
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berumanami0220(プロフ) - こんなに長く書き切ってくれてありがとうございました！すごく素敵なお話でした (4月6日 19時) (
レス) id: c0ff4540c3 (このIDを非表示/違反報告)
まやや - 泣いちゃった。。ジャンの変装シーンってどういうことですか？この長編を描き切るなんて素晴らしいです！！ (2020年10月24日 16時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - コットンキャンディーさん» コメントありがとうございます！こんなに長い小説を読んでいただき、本当にありがとうございます。嬉しいコメントまで、ありがたいばかりです(泣)だいぶ前に書いた作品ではありますが、こうして読んでくださることに心より感謝です！ありがとうございました(T-T) (2020年5月8日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
コットンキャンディー(プロフ) - こんにちは。今更ながら読ませていただきました！この章では泣いてしまいました本当に。こんな小説を書けるなんてすごいです！この小説を書いて下さりありがとうございました！とても面白かったです！ (2020年5月6日 12時) (レス) id: 5295ad42ac (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ゆらさん» コメントありがとうございます！そんな風に泣いていただけるなんて…本当にありがとうございます！最後の終わり方はいろいろと悩んだので、そう言っていただけると嬉しいです(泣)この作品を読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年9月25日 0時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
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