story＊66 その眼の先 ページ23
・
「御苦労さま。確かに報告書は受け取ったよ」
書類を手にしながら、いつものようにエルヴィンが穏やかな声でそう言う。
いや、いつも穏やかだけど、回してくる書類の量がハンパないからね
こんな紳士な顔してるけど、やること鬼だからね
…と、そんなことを思いつつ、涼しい顔をしているエルヴィンを少しだけ睨みつけてみる。
「…どうした？」
「……いいえ、別に」
「書類の量が多い、少しは減らせ…って顔してるな」
「…うっ」
「図星だな」
「わかってるなら、そうしてよ」
「できたらな」
穏やかに微笑んでは上手く攻撃をかわすエルヴィン。
絶対また大量に書類を押しつけられるな…そう思いつつ踵を返そうとすると、「…そうだ」と呼び止められた。
「A、この資料をリヴァイに渡しておいてくれないか？」
そう言って差し出された書類を受け取る手を出すまでに、ほんの少しだけ時間がかかった。
「………わかった」
「…リヴァイと、何かあったか…？」
「ッ…別に」
手を差し出すまでの、たったそれだけの『間』でエルヴィンが勘を働かせる。
危ない危ない
慌てて書類を受け取る。
が、そんな私を眺めながら、エルヴィンは少しだけ目を細めると、
「…人の恋路をとやかく言うつもりはないが、二人とも素直になったらいいんじゃないか？もういい大人なんだ。―――それとも…まだあのことを引きずっているのかい…？」
あのこと、が何を指しているのかは、もちろんすぐにわかった。
エルヴィンが言いたいことも…。
だから、余計に苛立ちを感じた。
「…とやかく言わないんでしょ」
「……あぁ、そうだったな」
睨めつけた私の視線は、微笑でスルリとかわされる。
エルヴィンは昔から人の心をよく見透かす。
そのくせ、自分のことに関してはほとんどと言っていいほど表に出さない。
だから、何を考えているのかわからない部分がある。
団長としての資質は認めてる。
人を見る目も、指導力も、兵団をまとめる力も…――。
だけどその眼は時々すごく遠くを見ているようで、たまに怖くなる。
もちろん、信頼はしているけれど……
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ああ - 続きがめっちゃ気になります！ (9月12日 17時) (
レス) id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 更新待ってるよ〜 (9月12日 17時) (レス) @page39 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - いつまで待ってるよさん» コメントありがとうございます！更新待ってくださってるということでしょうか。ありがとうございます（泣）。続きもう少しで更新できそうです。頑張ります！ (2021年4月19日 23時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
いつまで待ってるよ - みゃー (2021年4月13日 16時) (レス) id: 96589efb3e (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ミカサさん» コメントありがとうございます！更新お待たせしてすみません！待っていただきありがとうございます！ (2021年3月21日 22時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
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