第57回壁外調査22 ―通らない刃 ページ38
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ガキンッ…―――
ブレードの折れる音。
何度目かのその音をまた耳にし、リヴァイは思わず舌打ちした。
一体、どうなってやがる……
無惨に折れたブレードをガシャンと切り離しながら、忌々しげに女型の巨人のうなじに視線をやる。
うなじを守るようにして当てられている手の甲は、攻撃を加える度に硬質化を繰り返し、リヴァイとミケの刃を全く受け付けなかった。
一度硬質化した表面はしばらくすると剥がれるようだが、続けざまの攻撃にも瞬時に硬質化し刃を通さない。
立体起動で宙を移動しながらミケに目で合図する。
体勢を整えると、二人で同時に渾身の力を込めてうなじに斬りかかる。
ガキンッ…―――
結果は同じ…。
「…チッ、クソが…――ッ」
同じくブレードを砕かれたミケも、降参のポーズをとりながらエルヴィンに向けて小さく首を横に振った。
これ以上の白刃攻撃はおそらく時間の無駄だ。
立体起動で木の幹に着地すると、リヴァイは思わずもう一度舌打ちした。
犠牲を払った。
犠牲を払うことを前提にした作戦だった。
それも全て、コイツのうなじの中にいる本当の敵を捕獲する為。
―――…だと言うのに、肝心の『中身』が取り出せない。
多大な犠牲を払い、ようやく捕獲したというのに、これでは意味がないと言っても過言ではない。
少し離れた向こうの方では、ハンジ達が追加でワイヤーを打っている。
現段階では身じろぎひとつできないように見えるが、何が起こるかわからない。
そのハンジがイライラした様子で、こちらに視線を送ってきた。
言いたいことは嫌と言うほどわかっているのが余計に腹立たしい。
エルヴィンの方へと視線を戻す。
部下へ指示を出したようだ。
おそらく、爆薬で発破をかけるのだろう…。
中身ごと吹き飛ばす恐れもあるが、このまま何も試さないわけにもいかない。
リヴァイはブレードを新しいものに付け替え構えると、ゆっくりと目を細め、目の前で拘束されている女型の巨人を改めて睨みつけた。
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まやや - 本編は女型の巨人でしたよね(名前かっこいい)オルオのボケシーンほんと面白くて和みます! (2020年10月24日 14時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
まやや - これ決戦は相手と意思通じできる前提なのですか? (2020年10月24日 14時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - レムさん» レムさん!コメントありがとうございます!レス遅くなってしまいすみません(>_<)最近通知の調子がおかしくて(泣)応援本当に嬉しいです!これからも更新全力で頑張ります!!(≧▽≦) (2017年4月22日 16時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
レム - いつも読ませてもらってます^ ^これからも応援してます!頑張ってください (2017年4月19日 0時) (レス) id: 070402a881 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - みーみーさん» プンプン丸…可愛いな(*´ω`*)兵長のシーン、ちょっと長かったね(*´∀`)この辺りの流れ、すごく好きなんだ!続きも頑張る〜!! 次はもうリヴァイ班のシーンに移る予定だよ((((;゚Д゚))) (2016年12月4日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
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