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香り ページ31




「ウサギ…!」


逃げ惑っている彼女を見つけ、小さい声で呼ぶ。
こちらを振り返った瞳に溢れる焦燥に、落ち着いた表情を心掛けながらこっち、と手招きをした。
パイプが沢山立てかけられている隅、皆の死角になるところ。


「よくこんな場所見つけたわね…」


肩で息をするウサギに「たまたまね」と返すと、すぐ傍をクイーンチームの男が駆け抜けていった。
息を殺す。どうやら気づかれなかったようだ。
…最初に私たちの仲間についていたケンイチさんも、いつの間にか赤のボタンを身にまとい鬼気迫る表情で私達を探している。


「…とりあえず5分間、ここでじっとしてれば大丈夫。」

「…そうね」


ようやく肩の力を抜いたウサギは、流れる汗をそのままにハア、と息をついた。


「A、貴方運動神経も良いのね」

「えぇ?そう?最近動いてなかったから鈍ってるけど」


ピアノを弾くには体力も使うのだ。
だからスペードに参戦したの?と聞くウサギはすぐに頭を振り、「もっと聞くことがあるわね」と言った。


「貴方、チシヤと行動してたの?」

「え?何で分かるの?」

「微かにだけど、甘い貴方の匂いに混ざってチシヤの香りがするから…。」


言いづらそうに口を開くウサギ。
バッと自分の体を抑えるも、赤く染る頬は誤魔化せない。
分かれる前の最後の情事を思い出して身体を熱くさせた。


「…驚いた、そんな顔もできるのね」


目を丸くしたウサギがふ、と笑うと、私の頭を撫でる。
手つきが彼と似ていて、堪らず会いたくなった。
…ダメ、今はゲームに集中しなきゃいけないのに。

働きアリ→←違和感



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みりん(プロフ) - ゆめさん» ゆめさんありがとうございます!長ったらしい小説家とは思いますが、ここまで読み進めていただいたことマキタにありがとうございます!ꈍ .̮ ꈍ メッセージの方でパスワードを送らせて頂きますね! (2023年4月13日 20時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 初めまして!みりんさんの作品全て読まさせて頂きました! どれもとても素敵な作品で、出会えた嬉しさでいっぱいです! これからも陰ながらですが、応援させて 頂きます!お時間のある時に0の方のパスワードを 教えていただけると幸いです! (2023年4月13日 16時) (レス) id: 23764cc589 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - はるさん» はるさん、嬉しいお言葉ありがとうございます…!(*ᴗˬᴗ) EP0のパスワードの方、メッセージにて送らせて頂きますね! (2023年4月12日 1時) (レス) @page42 id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - はじめまして!素敵な作品を拝見させていただきありがとうございます!文章力が素晴らしくて凄く感情移入しました( ꈍᴗꈍ) 宜しければEP0の方も拝見させて頂きたいです!お時間ある時によろしくお願いします! (2023年4月11日 18時) (レス) @page40 id: 18e6227b50 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - ありがとうございます!︎おふたりとも、メッセージの方にてパスワードを送らせて頂きますね!ここまで読んでくださり嬉しい限りです(^_^*) (2023年4月9日 22時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みりん | 作成日時:2023年3月21日 2時

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