普通の約束３【gr】 (ページ5)

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普通の約束、１０５ページ5

食堂に近づくにつれ、昼とは比べ物にならない騒音が聞こえてくる。昼間よりも人数が多いのかもしれない。全員揃っていたらさぞかし圧巻なのだろう、と思いながらノックをすることもなく扉を開ける。
昼間、鬱大先生や化け物さん、シャオロン殿が座っていた席には、別の幹部が座っている。

名前は確か一通り公開されていたと思うが、本名なのかどうかも危うい名前さえあるし、別名の方で呼ばれる事が多い幹部もいた記憶がある。気がする。
本当にこれまで全くとして興味がなかったのだ。読者諸君、許してくれると助かる。

『失礼します』

会話を邪魔しない程度の声で食堂に足を踏み入れる。
席は全部で20。総統閣下を誕生日席に据えて、片方に六人ずつ座っているから、残りの空席は六つ。だが、私がその空席に座っても良いのか、そこに確証を持てないままでいるため、とりあえず総統閣下の方に行ってみようと足を踏み出す。

騒がしい食堂内の声が少しばかり弱まったように思えるが、そんなことをいちいち気にしていたら無駄に疲れてしまう事が今日のことでようやく分かった為、気にしないようにしてそのまま忠犬と何かを話している総統閣下の方に進む。

長いテーブルの上には様々な料理が並べられていて、化け物さんの前とその横には特に目立つ、大盛りの料理が盛られている。昼間もあんなに食べさせ、おそらく自分でも大量に食べていたというのに、たった6時間ほどでそこまで食べれるようになる物なのだろうか、と疑問に思ったが、胃の要領は人それぞれだという事で済ませることにした。これも深く考える必要のないことだ。

『総統閣下。』

gr「おお、来たか。なんだ？」

『私はどこに座れば良い。』

そういえばそうだったな、と今思い出したかのように下唇に指を添えて思考を広げているかのように総統閣下はテーブルの上の料理に目をやる。
しばしの沈黙の末、名案を思いついたとでもいうかのように口を開く。

gr「俺の隣に座れば良いだろう」

『……分かった。椅子を取ってきても良いか』

一応の上司に逆らうことなどできない。一度鬱大先生に従ったのだからそこは貫いておきたいと思い、出来るだけ嫌な顔にならないように微笑み、返答を返す。
しかし、表情筋は少し引きつったのをおそらく見抜いているのだろう、面白がるように笑って「嗚呼。」と微笑み返してくる。本当に嫌な奴だ。

どの椅子を取るのか一瞬迷ったが、一番端にある椅子ならば誰も文句は言わないだろう、と結論づけた。