普通の約束３【gr】 (ページ4)

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普通の約束、１０４ページ4

＿＿気怠く、穏やかで、それでいて泥のような睡眠だった。
目を覚まして窓外の光の位置からおおよその時刻を予想しながら私は再びそう思った。5時間ほど睡眠を取ったお陰で大分頭もスッキリしている。身体の疲れも全て取れたわけではないが、少なくとも良くはなっていることだけはわかる。

『くあ、……あ』

迎えにくる人間がいるかもしれない、などと贅沢なことは全くとして考えていないので、時間に遅れる前にさっさと部屋を出て食堂に向かった方がいいだろう。目覚めの欠伸を噛み殺しながらベッドを降りる。
人の気配、視線は感じない。わざわざ見張っている必要もないと考えたらしい。
服に少しついたシワを伸ばしてみる。あまり変わったようには思えないが、やったのとやっていないので少しは変わるだろうと信じておこう。

まあ、服が多少整っていたとしても、この放置していた髪はどうしようもないだろうが。

多少の呆れを覚えながらうざったい髪を払う。図書室を出たところで満足して紐を見つけるのをすっかり忘れてしまっていた。これは相当に疲れていたに違いない。明日からは流石に、「まだ環境に馴染んでいないから」などという言い訳は使えないのだから、もっと頭を使うことに慣れないといけないだろう……。

課題、ミッション、やるべきこと。嫌いであって嫌いじゃない。目標が定まっていて、難易度が少々高めならなお良いとまで思っている。暇なのだよ、とにかくな。

とにかく、私の現在のミッションは7時までに食堂に行くことだ。服装の指定は特になかったし、このままでもいいんだろう。寝相は良い方なので特段目立つようなシワもついていない。
問題は無い。何の集まりか知らないが食堂に行こう。まさか晩飯を食いながら今後の方針をのんびりとしたムードで決める……だなんてことは、無いはずだ。

＿＿ありそうだから困る。

もはや冗談ですら此処では本当になりそうで、呆れつつ自室の扉に手をかけた。

廊下は先と同じく静まり返っている。幹部の方々は早めに食堂の方に行ったのか、それとも１日のほとんどを此処では無い場所で過ごしているのか知らないが、この時間帯にいないということは後者の方が可能性は高いのだろう。

地図を見た記憶を辿り、人があまりいないと推測される道を通って食堂に向かう。
少し遠回りになってしまっているだろうが、もう視線をグサグサと浴びるのはしばらく避けていたい。やましい事があるわけでも無いのに、妙なものだと我ながら思った。