【episode 32】#You ページ32
私は太宰の言葉に眉間にしわを寄せる。
さっきは私のところより武装探偵社の方が安全かも、なんて思ったけど前言撤回。
やっぱり敦をここに任せるなんて、危険すぎだ。
「いやいや!
こんな無茶で物騒な職場、僕無理ですよ!」
うん、敦その通りだよ。
私と一緒にここから逃げよう。
敦の腕を掴んで扉の方へと振り返る。
ぱし、と私の腕に違和感。
見てみると、制服の少女…(おそらく…爆弾魔役の彼が言っていたので)ナオミさんが私の腕をにっこりと微笑んで掴んでいた。
たらり、と冷や汗が伝ったのがわかった。
「おや、君が無理というなら強制はできないね。
となると、君たちが住んでる社員寮引き払わないと」
ぎくり、と敦の体が揺れる。
「あと寮の食費と電話の払いもあるけど…大丈夫?」
敦は俯き、ぷるぷると震えだす。
「せ、選択肢ないじゃないですかあああぁ!」
「あ、敦…」
「お姉さま、もちろん、お姉さまもここに残ってくださいますよね?」
「わ、私…も?」
「あら、先程社長もおしゃっていたでしょ、歓迎しようって」
太宰は私の目の前まで来ると紙袋を差し出した。
「……?」
「これは君のだ。
せっかく用意してあげたのにどうして着なかったの」
紙袋を受け取り、中身を見てみると私の枕元にあった洋服だった。
「君はナオミちゃんを人質から助けたそうだね。
怖くなかったのかい?」
「…怖かった、と思います…
でも勝手に体が動いて…」
心の底から思った。
この子を、助けなくてはいけない、と。
でも、本当にそれだけで…
「十分だよ。
敦君にも言ったけど、君にもこの仕事は向いていると思う」
ね?
そう言って私の頭を撫でる太宰。
ぞわり、と鳥肌が立った。
「これから君も、武装探偵社の一員だ」
私、も武装探偵社の一員…?
「A!よかった、これからも一緒だよ!」
私を強く抱きしめる敦。
「うふ、よろしくお願いしますわ」
私の腕に絡みつくナオミさん。
だんだんと視界がぼやけていく。
「私、も…ここにいていいんですか…」
自分で驚くほど、震えた声が出た。
「武装探偵社へようこそ」
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十六夜(プロフ) - 胡蝶さん» コメントありがとうございます。励みになります。中也さんの登場が私自身も待ち遠しいです^ ^ (2018年3月10日 11時) (レス) id: e6ba942cc6 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 凄くおもしろかったです。夢主ちゃん、中也さんと気が合いそうですね。これからどんな展開になっていくのか楽しみです。 (2018年3月10日 0時) (レス) id: 7857e3d4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十六夜 | 作成日時:2018年2月27日 22時