ずっとそのまま ページ9
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そろそろと物音を立てないようにしながら歩く。
喧嘩のことを江華にバレないようにこっそり帰って、また自分で手当するつもりだった。
「A。また喧嘩しただろう。」
「し、してないよ」
突然言われたせいか声が多少裏返る。
嘘がバレバレのその姿にクスリと笑う。
「父親に似てきたね。ウソが下手だ。そのままじゃハゲるよ。」
「ハゲないよ!」
この前零された愚痴を思い出しながら言う。
そして、静かに微笑んだ。
「こっちにおいで」
「いっ、いいよ」
恥ずかしいのか顔を赤くして慌てている。
「アラ、そこは似てない。あのハゲは甘える時は甘えるよ。」
そうして上手く丸め込まれ、治療を受けることになった。
「いいなー、神楽も〜神楽も〜」
自分も母に触れてほしくて、手を伸ばした。
「今日はお姉ちゃんの番。」
傷に触れるその手は優しい。
「まったく、バカな所ばかりあの人に似ちゃって。」
その声を静かに聞いていたが背中に感じた人の体温に意識が向いた。
「ごめんね」
その言葉の意味が、今は少しわからなくなっていた。
「こんな小さい背中に色々背負わせてしまって。でももう無理はしないで。アナタはアナタのままでいいのよ。」
気づいていたのだ。
彼女の瞳にいつだって映っている。
神晃の背中に。
だから、AがAでなくなってしまう前に変えたかった。
「あの星を離れた時からこうなる事は覚悟していた。それでもあの人と一緒になったのは、あの人の隣りにいたかったから。」
生まれてくる
家族にはずっと家族のままでいてほしい。
「だからA。あなた達は、そのままでいて。」
でも、こんがらがってしまったのだ。
あの男にならずに、強くなる方法なんて思いつかなかったから。
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宇宙 - 凄い面白いです!おススメします! (2019年11月24日 18時) (レス) id: 851b2213db (このIDを非表示/違反報告)
黒金 - あお果実さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると、とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年3月6日 20時) (レス) id: 16e0ec3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
あお果実(プロフ) - とても面白いです!これからも応援してます(*´∀`) (2019年3月6日 16時) (レス) id: 11c4dc89d1 (このIDを非表示/違反報告)
黒金 - momoさん» ありがとうございます!私も、こうして見ると何だかしみじみとしてしまいます・・・・。小さい頃から壮絶な人生送ってますよね・・・・。これからも更新がんばります! (2019年3月3日 23時) (レス) id: 16e0ec3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 初めまして!銀魂の成り代わり小説少ないし、神威の成り代わり見た事無かったので書いてくれて嬉しいです!!こうやってみると神威恵まれ無さすぎて推せに推せる.......。これからも更新楽しみにしてます。無理をしない程度に頑張って下さい( *˙ ˙* ) (2019年3月3日 22時) (レス) id: afb06b4870 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒金 | 作成日時:2019年2月23日 22時