【銀魂】まっすぐ兎

生気溢れる ページ17

*



そこは、目立たない場所


家もなければ人気もない。


そこに兎は飛び込んでいく。


「何ここ････。」


見覚えのない景色に目を瞬かさせた。


「あ、ちょっと待てよ！」


兎の足は、まだ止まっていなかった。


そしてついたのは、大きな木のある場所。


「こんな木あったんだ････。」


所々についている葉が、木を着飾っている服のよう。


兎と同じで生気が溢れているその木に触れた。


そうしたら、まるで日を浴びているような


そんな気持ちになった。


雨で冷えた身体が暖かくなる。


手を離し、余韻に浸っていると兎がまた服を引っ張った。


「ん･･･？」


目を見開いた。


「あれって！！」


視線の先には、探していた花が二つあった。


花の元へと走っていく。


兎は目を閉じて、まるで笑っているような顔をした。


「こんな所にあったんだ････。」


間違いなく、探していた花


その周りには、いくつかの花があった痕跡


「これって、もしかして」


兎の方に顔を向ける。


「お前が食ったの？」


それが何か？とでも言うように首を傾げる。


「バッカ････。」


頭を抑えた。


でも、すぐに花と向き直る。


「まあいいや。残ってたし」


そう言って、丁寧に花を摘み取った。


「この一本は、残しておこう。」


立ち上がる。


「さてと。帰り道、案内してくれるよね？」


澄んでいるその声に兎は背を向けて応える。


何故か、強さも迷いもその時だけは忘れていた。




*

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