【銀魂】まっすぐ兎

解らない ページ12

*



湿布を貼り包帯を巻かれた、まだ小さい娘。


それを見つめる江華の瞳は悲しそうに伏せられている。


家から少し離れた場所。


傘をささなければ風邪を引いてしまうかもしれない。


そんな土砂降りの雨だった。


そして、雨に打たれる石の階段。


そこで、場所は変わっても変わらず項垂れたままの丸まったAの背中。


「くだらねェ喧嘩はやめろと言ったはずだ。」


何も答えない。


ピクリとも動かない。


「無闇に力を振るうから、力によってくじかれる。A、お前は強さって奴を履き違えてる。」


そして、暫く待っていた。



強くなれって言ったのは父さんじゃないか。



いつも通り、ちょっとした屁理屈とそんな声が返ってくると思っていたから。


「なんで何も言い返さねェ。」



ポタリと膝に置いた手に雨が落ちる。


「解んないよ。」


その声は、僅かに震えている。


「強さって一体何」


頭上に傘を掲げられる。


それでも、雨が止むことはなかった。


「他人を傷つけないように黙って殴られている事？」


最近の自分


「自分や家族を護るために他人を傷つける事？」


昔の自分


「それとも」


自分の目指していたモノ


「隣にいてほしいと願ってる家族を見向きもしないで、一人で戦いにいく事？」


振り返った瞳は虚ろで、その顔は自嘲気味に笑っていて、映っているのは迷いだけ。


「私、もう･･････」




解かんないよ




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