気まぐれウツボとネコザメちゃん (ページ42)

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あの騒動からしばらく達
マジフト大会も終わり、レオナ･キングスカラーのオーバーブロットなどのトラブルのあとも、フラーラはラウンジの水槽で本来の姿のまま眠っている。

教員がしばし様子を伺いにやって来るが
ただ眠っているだけだという。

ア「……フロイドいい加減部屋に戻れ」
フ「やだ」
ジェ「フロイド……ずっと水槽に張り付いていては体が持ちませんよ？フラーラが起きた時に、そんなヤツれた顔を見たら不安がりますよ」

半ば無理やり水槽から引き剥がしフロイドの部屋に連れていく。

フ「なんで、起きねぇの……？」
ジェ「ッ……」

ジェイドはフロイドのこの表情が嫌いだった。
今にも消え入りそうで、片割れが脆く砕けるようで見ているだけでジェイドも辛かった。

もう二度と見ないと思っていた、思いたかったのに幼なじみだった1匹のメスのせいで
再び片割れは酷くやつれた。

お前のせいだフラーラ

思ってはいても口には出せない一言。
片割れも大事だが同時にフラーラも大切な仲間なのだ。

魔法薬で無理やり片割れを寝かし、ラウンジの水槽の冷たいガラスに手を当てる。
手袋越しでも冷たい水槽の中で何も知らないように眠る彼女は本当に生きているのか。

早く起きてください。

いつまで寝てるんです？

あなたのせいでフロイドの元気がないんです。

アズールも困っていますよ。
あなたがいないと売上が出ないんです。

はやく、はやく起きてください。

僕のことをその自慢のヒレで叩いて起こした癖に
貴方はいつも自分のことになると手を抜く。

お願いです。

僕からフロイドをとらないで。
あなたがいないだけで、僕の知っているフロイドは簡単にいなくなるんです。

だからお願いです。
早く目を覚ましてください。

いつもの寝たフリですか？そんなの通用しませんからね？

微かに聞こえた水音。

『ジェイド』

冷たく優しいソプラノ。
目を覚ましていて欲しかった。
夢ならば早く覚めて欲しかった。

彼女は水槽の中で眠り続けていたままだった。