名を付けるならなんと呼ぶ Ⅱ【ONEPIECE】 (ページ30)

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「大丈夫です、掠っただけですから。」

息を整えてそう返した。
彼に怪我を見られたくなくて足をそっと隠す。幸いなことに、私のブーツは革靴な上に真っ黒だから、出血は目立たない。

「そんな訳あるか、今すぐ見せろ」

「私の靴は鉄製なんです。体重の軽い私の蹴りなんて、そうでもしなきゃ通用しませんから。流石に衝撃全てを吸収することは出来ないので痛みはありますけどね、」

ほら、と靴底を見せる。本当は鉄で出来ているのは靴底だけだけど。最もらしい言い訳がすらすらと出てきたことに安堵した。

でも、ローさんの機嫌は相変わらず悪いままだ。
眉間に寄った皺が深くて、初対面でこんな顔で睨まれたら反射で逃げ出してしまいそうだなぁ、なんて呑気に考える。

「何故庇った」

「あいつが目を覚ましたのは、ツメが甘かった私のミスです。自分の責任なので自分で落とし前を付けました」

そう言っても、まだ納得いかない、という顔をしてローさんはより眼光を鋭くした。形の良い唇を引き結んで、こちらを睨むだけだ。
仕方なしに再び言葉を続ける。

「それに、私は血を飲めば治るので」

何気なしに言った言葉だった。それでローは納得するだろうと。
だって、ローが打たれるよりも私が代わりに弾丸を受けた方が余っ程早く傷を治せるのだから、合理的だと。彼ならそれを理解してくれるだろう＿＿＿そう思って。

けど、帰ってきた反応は想像とは全く違うものだった。

「二度とそんな理由で俺の身代わりになろうとするな」