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「っ！おい！A！」
背後でローさんの声がした。その声に良かった、とどこか安心してしまう。多分弾は貫通していない。
小銃の弾なら、足の骨を砕いた後に靴底の鉄板を貫く事なんてさすがに出来ないだろう。
鉄板と言うよりも、底の高いこの靴はほぼ鉄の塊のようなものだ。
攻撃力を少しでも上げる為にと靴底に仕込んでいた鉄板をこんなふうに使うことになるとはなぁ。なんて内心せせら笑う。
「…………はぁ、っは、“
何か言うよりも先にまず、能力で生み出した刃を真っ直ぐパトーネに飛ばした。
元々、奴は意識もそれほどハッキリしていなかったのだろう、避けられることも無く刃は命中して、ばたりとパトーネは倒れ込む。
それを見送った私も、地面に崩れ落ちた。
「A！おい！A！！」
「……うるさい、っは、です、よ、……きこえて、ますから。」
パトーネの存在に気付いてから今に至るまで、ほんの数秒だ。あの瞬間の私の速さは確実に今までで1番の速度を記録したことだろう。自分でも驚いていた。
初めてまともにAよばれたなぁ、なんて場違いなことを考える。
地面に座って足を見ると、左足の甲、楔状骨がある辺にしっかりと弾丸は収まってくれていた。正直な所恐ろしい程痛いけれど、それよりも達成感の方がある。
それよりも、
「今すぐ見せろ！！！」
血相を変えて飛び込んで来たローの剣幕の方に、私は驚いていた。
険しく眉間に皺を寄せて凄むローさんは、すごく怒ってるみたいで、その理由が全然分からない。恩着せがましい言い方をすれば庇ったのはAの方だ。なのに怒られている、らしい。
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作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月11日 3時
