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「つまり男の血を適当に吸ってしまえば相手に快楽を与えて魅力状態にしてしまう、そんなことになればテメェみたいな女は確実に襲われるだろうな。」
「……はい、……でもこんな世界、敵は殆どが男の人です、だからといって一般人の女の人や子供を襲うことも……出来ません」
そもそも、とAが苦虫を噛み潰したみたいな顔をした
「得体の知れない、清潔感もない海賊の男に噛み付くなんて、普通に、私が嫌なんです………………」
だからこの能力が私は心底嫌いだ、とAは言った。その鬼気迫る様子とは裏腹に、言っている内容の可愛らしさに、思わず笑えてしまう。
クク、と肩を震わせると、「真剣な悩みなんですから笑わないでください！！」と怒られた。
「成程な、さっきのAの様子とも合致する。納得だ」
そう言うとAは顔を真っ赤にして、わなわなと震えた
「お願いですから全部忘れて……！ください…！」
「無理だな、テメェのハツジョウした顔も声も、忘れるには惜しい」
「っ〜〜！！っ！ばっ！やめ、…は、はつじょう、とか！言わないでください！！」
顔を赤くしたまま俺に威嚇するA。だが確かに、と先刻のことを思い出す。
Aに血を吸われた時、Aに噛み付かれた手首から確かに甘い刺激を感じた。
あれは矢張り能力の1部だったらしい。
＿＿＿＿確かに、あの快楽に耐えるのはかなり大変だと俺も感じた。
無法者である海賊相手に同じ事をしてみろ、あっという間に彼女は襲われていい“玩具”として遊び潰されるだろう。
そこまで聞いて、俺はまず気になる点がいくつか浮かび上がった。
「今までどうやって血を手に入れてた？」
「注射器を使って直接採取するか、病院で輸血パックを売って頂いていました。医療の知識があるので…流れの看護師見習いで、船医に頼まれた、とか言って。」
「ほう、上手いことやってたんだな」
「でも、そんなの…旅の中で足りるわけなくて、能力を使うと血を消費するので……だから私は常に飢餓状態1歩手前、みたいな感じ…といいますか。」
「だから傷を負っても血を飲まないと治らないのか」
こくりと頷いたA。なるほど全てに合点がいった。吸血鬼と言う割にいつもギリギリの戦いをしているのはそういう事だったのか。
血だって鮮度が命だ。吸血鬼は生き血を吸う、とも言うし、ストックしたとして、常温管理じゃ持って2.3日だろう。
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作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月11日 3時
