睨まないでよ【シルバー】 (ページ10)

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汚物を見る目ページ10

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「やっと相手にしてくれたね、Aくん。」

『まあ、無視は良心が痛みますし』

面倒臭い。どうして会話してしまったんだろう。態とらしく溜息を吐く。これはもう無視できないと思い、早歩きだった足取りをいつもの歩幅に戻した。

「最近、キミのことをよく見ていたのだよ。」

『……知っていますよ。それにしても、貴方、タイミングの悪い人ですね。』

Aが”知っている”と伝えた時、ルークは目を丸くして大袈裟に驚いた。

「気付いていたのかい？でも、一度もそんな素振りは無かったじゃないか。」

『あたしもおかしいと思ってたんです。だって、一度に二人も………なんでもありません。』

危ない、失言をするところだった。”貴方以外にもあたしを監視している人がいるんですよ”そんなこと言って彼の好奇心を更に掻き立てては、墓穴を掘ることとなる。Aがそう顔を逸らすと、ルークは「ああ、」と笑った。

「私以外にも、キミを陰ながら見ている人物がいることだろう？私は知っているから隠さなくても構わないよ。」

『………あっそうですか。』

でしょうね。貴方、私のどこまで知ってるんですか。
それならば彼に手を借りよう……なんてことは、微塵も思わなかった。彼とは極力関わりたくない。それに、自分のことは自分で解決させなければ。

『……ま、貴方にも人間らしい(まともな)ところがあるんだなって分かったので、あたしはそれで満足ですけど。』

「それは、一体どういうことだい？」

『あら、お気付きになりませんか？』

Aがそう馬鹿にしたように笑うと、ルークは「参ったね…」と困ったように言った。

「まともだなんて初めて言われたからね。是非教えてくれはしないかな？」

Aは半目気味にルークを睨んで、溜息を吐いた。真っ直ぐルークを見て、こう訊いた。

『ハントさんってあたしのこと、マジカルシフト大会前から見てますよね。』

「キミのことがずっと気になっていたからね！薔薇の君(ロァ・ドゥ・ローズ)率いるハーツラビュル寮生と我がポムフィオーレ寮へ来た時の、私を見るキミの、あの汚物を見るような瞳！あの時から私はキミの虜さ！」

『話逸らさないでくれます？』

ドン引きだ。今のAのルークを見る目も汚物を見る目なのだろうが。それよりもドン引きだ。彼は｢おおっとすまないね｣と思ってもなさそうな声で謝ってきた。この人はどうして、掴めないらしい。