睨まないでよ【シルバー】 (ページ49)

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後悔反省後悔… ページ49

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「Aちゃん！」

『監督生……』

あれからレオナを剥がすのが大変だった。ラギーに手伝ってもらって何とか剥がしたが、彼の尻尾を千切っちゃわないかと気が気でなかった。二人と別れ、職員室へ向かう途中監督生に会った。どうやら走って来たようで、息切れしている。

『どうかしたの……？』

朝のこともあり、罪悪感からか監督生の目を見ることが出来ない。やっぱり兄の言う通り、仲直りは早い方が良いのかもしれない。Aは意地になって話を聞かないきらいがあると、昔からシルバーに言われていた。今冷静になれば本当にそうなんだと、反省する。

両方が何とも言えない空気の中、監督生は一瞬声にすることを躊躇ったが、決心して言葉にした。

「あの、あ、ありがとう……！」

『……は？』

驚きのあまり怒りを含んだような声を零した。聞き返すようになってしまった感動詞が監督生の心に刺さる。

「さ、さっき、ジェイド先輩とフロイド先輩から助けてくれて……」

『いや、そんなのいいよ。アイツらとは…………』

”家族同然だから、”と言いかけて、無意識に声を堪えた。こんなこと前にもあったような気がして、右手で口を塞いだ。

────出会ったばかりの彼らと、家族気取りなワケ?

……違う、そういうつもりじゃなかった。

ふいに聞こえた”自分の声”に動揺する。まるで別の誰かに諭されているようだが、この声は自分に変わりないのだ。
脳内にガンガンと響く、その耳障りな声を掻き消そうとして、自分の頭をぶつ。私を心配する監督生の声も耳に入らない。

────親父殿やシルバーにだって、勘当されたってのに?

だから、それは関係ないじゃない。

自分の痛い所ばかり突いてくるコイツは、やはり自分なのだと理解する。一番の恐怖は、自分の恐怖が何なのか知っている【自分】だ。

────関係なくない。アタシのことであり、貴女のことだもの。

貴女に何が出来るって言うの?いい加減な口ばっかり利いて。

神経を攻撃されている様な、そんな錯覚に陥った。頭が痛い。

『うざいから、もう消えて…………！』

自分自身にこんなことを言っている愚かさと、こんな幻聴が聞こえる自分の精神の弱さに絶望した。そして、目の前にいる彼との会話の文脈的に、とんでもない誤解を招いてしまったことに、Aは死ぬほど後悔した。