睨まないでよ【シルバー】 (ページ43)

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彼らの意図ページ43

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「さて、話を戻しますが。」

明らかにジェイドの様子がいつもと違う。単に興味だけでここまで執着するだろうか、ジェイドが。いつもだったらAやフロイドの機嫌を損ねないように軽く遊んで、満足したらさっさと手を引くはずだ。そんなに監督生に執着する理由がわからない。
昨日のアズールといい、まさか……
昨日した嫌な予感が当たってしまいそうで、その先を考えることをやめた。焦っちゃ駄目だ。冷静に物事を捉えなければ。
監督生の隣に立ち、一度ジェイドの話を訊いてみた。Aの意味不明な行動に１年生はオロオロしているが、ジェイドはニヤニヤしていた。無駄な抵抗だとでも言いたいのか。

「もしかして貴方のお悩みは……このおバカなイソギンチャクたちについてではありませんか？」

「もしかして、なんてよく言うぜ。ニヤニヤしやがって。」

『ジェイドはこれがデフォだから許して……』

ジェイドが言ったことに対し、ジャックがそう噛みつくので、まあまあ…と宥めるていると、次はフロイドがジャックに興味を持った。ジェイドに吐き捨てた言葉が気に入らなかったのか。次から次へ元気なものだ。

「なに、コイツ？ツンツンしててウニみたい。」

「なっ……ウニじゃねぇ！オオカミだ！」

『こらこらフロイド、揶揄わないの。』

イツメンでいるときは完全に小学生なAが、こんな風に優しく、誰かを叱っているのが珍しかったらしく監督生は「聖母……？」と呟いた。何言ってんだこいつ。

ジェイドはそんなAたちに構わず、信念強く監督生に話を持ちかけている。Aはそんなジェイドを睨みつける。

「もし監督生さんの悩みの種がイソギンチャクたちについてなら……直接アズールに相談するのが一番だと思いますよ。」

『………は？』

彼の発した言葉で、彼らの意図が分かった。本格的に監督生を狙っている。キープとかついでとかじゃなく、次のターゲットとして。
目を真ん丸にして驚くAを見て、ジェイドはフフフ…と微笑んだ。

「アズールはグレート・セブンの海の魔女のようにとても慈悲深いお方。きっと貴方の悩みを聞いてくれるでしょう。」

『ジェイド、ちょっと……』

「そうそう。アズールはどんな悩みも解決してくれるよ。例えば……」

”そこにいるイソギンチャクたちを
自由にしたい、
なんて願いでも。”

ああしまった。こうなればもう手遅れだと、頭を抱える。せめて最善は尽くすことくらいはさせてほしい。