面倒な同級生 ページ35
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「契約上、すでにみなさんの身柄は髪の毛の一本まで僕のものです。つまり、能力を返すも返さないも僕の自由だ。」
「そんなんアリかよ!」
契約なんて、欲しいものがある側がいつだって不利なのに。そんなことも分からないのか、最近の若者は。
Aは遺伝子レベルで商人だから、疑り深いのかも知れない。しかしそれにしたって、自分が優位な契約だと思ってたんなら幻滅する。
隣で監督生が「だからグリムたちは魔法で喧嘩しなかったのか」と、合点がいったように手をパンっと叩いた。”喧嘩しなかった”んじゃなくて、”出来なかった”ってことだ。
すると、視界の隅のジャックの様子が変だと思って、私と監督生はほぼ同時にジャックを見上げた。わなわなと小刻みに震えるジャックに、ゲッと眉を歪ませた。
「さっきから聞いてりゃ……どいつもこいつも気にいらねぇ!!!」
「!!??」
「ジャ、ジャック!?どうしてここに?」
デュースたち3人が過剰に反応した。Aはあちゃ〜、と頭を抱えて苦笑いを零す。
こっちに注目されたら、寮長にバレちゃうじゃん。私はコソコソと彼の影に隠れる。ジャックのデカい図体が役に立ってるよ!ありがとね!
「ん?君は……頭にイソギンチャクがついていませんね。今はスタッフ・ミーティング中です。部外者はご遠慮いただけますか?」
案の定寮長は、イソギンチャクが生えていないジャックに興味を示した。否、部外者は出ていくように催促した。
「グルル……部外者だと?」
唸るな唸るな。いや、ジャック部外者じゃんと、ツッコミを入れる。
「俺は、自分の力で勉強した奴らと真っ向から競い合って勝ちたかったんだ。それが、あんたのせいで台無しになった。充分に当事者だろうが!」
『あちゃ〜!』
「意識の高さに火がついてしまった…」
この子そういう子だったわね〜。大変真面目で面倒な性格してらっしゃりますわね〜。私は自分の頭をパシーンと叩いた。監督生も遠い目をし始めた。
”あたしら、巻き込まれるぞ”
口に出さなくてもお互いに理解していた。我々の不幸体質は今に始まったことではない。すると、グリムが私たちを見て大声で言った。
「監督生、A、ジャック、オレ様たちを助けに来てくれたんだゾ!?」
『んなワケあるか』
グリムの声に反応したアズールが、A…!?と言うので、Aはやっべ……と顔を逸らした。これは、VIPルームでお説教コースだ。そう瞬時に悟ったのだった。
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作者名:天 | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時:2020年11月13日 19時