検索窓
今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:45,586 hit

彼女こんな子変わった子。 ページ23

NOside


無事にテストが終わり、浮足立つ生徒たちが集まったモストロラウンジ。そのテストが無事でなかった者も、余裕で終えた者も皆、喉元過ぎれば熱さを忘れるものだった。男子高校生らしく、学園の紅一点の尻を追っかけ回すように、その給仕姿を一目拝みに来ているのだ。


―――――A・アジーム

元ハーツラビュル寮の特待生で、現オクタヴィネル寮特待生。

女子ながらにNRCに特待生入学し、成績は入学以来主席を独占。

体力育成、錬金術、実践魔法の成績も上位。

世界有数の富豪[アジーム]出身であり

その美貌と人柄から【天使】とも【悪魔】とも呼ばれる。

NRCの高嶺の花――――――


その噂が嘘でないにしても、Aは腑に落ちない気持ちを抑えきれなかった。流石に過大評価しすぎである。


『(そんなことないのにな……)』


Aの脳内では、それら全てを否定できる根拠があった。

先ず一つ目、女子ながらに闇の鏡に選ばれたのだから一般入学は有り得ない。特待生入学という形がAも学園も都合がよかった。

そして二つ目、特待生入学したものが成績主席は当たり前だ。誰彼構わず特待生にするほど学園側も暇ではない。才と教養、可能性のある者でなければおいそれと特待生には出来ない。

更に三つ目、アジーム出身なんて聞こえはいいが、Aがアジーム家で過ごした期間も多寡が知れている。その上後継ぎの長男でもない限り、アジームの名だって飾りでしかない。

最後に四つ目、美貌は言いすぎだ。人柄だって良くない。外面の間違いである。兄であるカリム・アルアジームの評価であれば正当な評価だが、Aには美貌やら人柄やらは兼ね備えていない。

彼女は自身を過小評価してしまう節がある。それも、今まで育った環境が原因であるが。物心ついた頃には主がいたのだ。臣下は主を立てるもの。謙虚で忠実であるもの。Aは臣下の鑑であった。

入学当初より伸びた髪を揺らしながら、あっちこっち忙しなく働いているAを、学生たちは溜息を吐きながら見ていた。

ハーツラビュル寮の寮長のお気に入りで、サバナクロー寮への転寮の勧誘も未だ絶えずに来ている。スカラビア寮の寮長の実妹で、仲の良さは学園内でも有名だ。ディアソムニア寮の上層部の溺愛っぷりも、知らない者はいない。何よりオクタヴィネル寮の3人が、彼女に隠れて虫よけしているとか。

本人は全くそんなこと知らず、今日も今日とて仕事に夢中だ。

狂気の元は求美→←鍵は゛メモ゛



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
122人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur  
作成日時:2020年11月13日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。