睨まないでよ【シルバー】 (ページ14)

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えらいえらいページ14

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『てなわけで。悪いけどジェイド、席を外して欲しい。』

「……おやおや、酷いです。」

しくしくと嘘泣きしてがら出ていったが、「おやおや」と「酷いです」の間に「面白いものが見れると思ったのに」というセリフが隠れていたことを私は知っている。ジェイドが出ていった扉をキッと睨む。流れるようにアズールと目を合わせた。今日の分の書類を机の上にドサッと置いた後、ハッキリ訊いた。

『……アズール、なんかあった？最近疲れてるようだし、ジェイドもフロイドも心配しているよ……』

精一杯優しく問いかけた。どうしても心配なのだ。

「………お前には関係ない。」

『それは嘘よ。アズールはあたしたちの寮長なんだから、関係ないことなんてない。アズールが心配なの……一人で溜め込んでしまうタイプだから。』

どうして関係ないなんて言うの!?
絶対なにかあるじゃない!
心配してるのに!

逆上してはいけない。アズールだって私に冷たくしたくてしてる訳じゃないんだ。一番大変なのはアズール。アズールは疲れてるんだ。「こっちは心配してるのに」というのは上から目線の物言いである。
A出来るだけ優しく声をかけた。心配の色を全力で匂わせて、アズールの顔色を覗き込むように眉を下げた。アズールはそれに少し驚いた。

「………怒ってないんですか？」

『……何に？』

「その……この間、今みたいに僕を心配していたのに、僕はAに当たってしまった……。」

アズールはらしくもなく、申し訳なさそうに眉を下げてそう言った。こんなにしおらしくなっているアズールは初めて見た。そんなに堪えることがあったのか。イエス・ノーで答える質問を、鼻で笑って躱した。

酷く疲れた様子のアズールに寄り添うように、いつもはジェイドが立っている場所に立った。綺麗に整えられた髪を、クシャクシャと撫でる。突然の出来事に顔を真っ赤にした彼に「や、やめなさい…！」と拒まれた。だが、私は続けた。

『アズール、偉い偉い。』

「子供扱いしていますね……」

赤い顔のまま口の端をひくつかせて怒りを抑えるアズール。彼の髪をそっと撫でた。

『アズールが一番頑張ってる。ゼロからモストロラウンジを立てて、学生じゃ有り得ない仕事も熟してる。そんなアズールだからオクタヴィネルを選んだんだよ。
アズールが頑張ってるから、あたしも頑張れる。』

私が本気だと気付いたアズールは、黙って私のことを受け入れた。