あたし一人で ページ11
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鏡舎の真ん中で彼の方を振り返ってハッキリ言った。彼は真っ直ぐAの目を見ている。
『マジカルシフト大会前からあたしを見ていたけど、
成績に関わるかもしれない。仕事に支障が出るかもしれない。そう思って、邪魔をしなかったんですよね。
『意外と人間らしいというか……優しいところあるんですね。今みたいに取り繕ったものじゃなくて、相手を心から尊重するような。』
思ったより人間らしいと言うか、好きな人でもいるんですか?Aがそう訊くと、ルークは「おやおや……」と意味深長に笑った。その笑顔は今まで見た中で一番……いや、Aたちがポムフィオーレ寮へ赴いた日の顔と、同じくらい不気味だった。どうにも、体が彼を拒絶する。
「………あまり詮索されるのは好きじゃないんだ。」
『他人のプライベートはズカズカ踏み込むのに?それは筋が通りませんよ。それに、あたしの場合詮索したんじゃなく、こうやって会話する中で偶々見つけた貴方の長所じゃないですか。』
私がそう言うと、ハントさんは笑っているのかいないのか分からない顔のまま「それはすまなかったね」と謝ってきた。
「最後にもう一つ訊いても良いかな?」
『それを貴方に教えたら、あたしに何をくれるんですか?』
対価を寄越せ。彼を馬鹿にするように鼻で笑うと、彼も負けず劣らずの笑顔でこう言った。
「僕以外に陰でキミを見ていたという人物のことを、キミの寮長は知っているのかい?」
『………彼はなにも知りません。』
人の話聞けよ…と言いたかったが、そんな話題ではなかった為、そう言った。私は彼のネクタイを引っ張り、下から睨み上げるように
『あたしに興味があるのは結構。飽きるまで好きに観察してどうぞ。ですが、これは寮の問題であり、それ以前にあたし個人の問題。どこの誰かは存じ上げませんが、あたし一人で解決しますので。
対価に私のこと色々教えたでしょう?投げ捨てるように彼のネクタイから手を放し、「では、御機嫌よう」なんて思ってもいない言葉で別れた。最後、私を見る彼の目が出会った時より輝いていたことは、気付かないフリをしておく。
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作者名:天 | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時:2020年11月13日 19時